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今月のキーワード

高位発熱量基準 / ダリッツプロット / 過渡吸収分光 / 秒角

●高位発熱量基準[higher heating value basis]
燃料を燃焼することにより化学的エネルギーを熱エネルギーに変換し,利用することができる。燃料を完全燃焼させたときに計測される熱量を発熱量という。燃焼ガス中の生成水蒸気が凝縮したときに得られる凝縮潜熱を含めた発熱量を高位発熱量といい,水蒸気のままで凝縮潜熱を含まない発熱量を低位発熱量という。高位発熱量を分母とし,とり出せる仕事を分子としたときの効率を高位発熱量基準の効率という。(p.76「次世代エネルギー技術の最前線」)

●ダリッツプロット[Dalitz plot]
ダリッツ(R. H. Dalitz)によって導入されたプロット(図)で,原子分子物理学では3体解離で生成した3粒子間の運動相関を表現するのに用いられる。各解離イベントで生じる粒子の運動エネルギーがそれぞれe1e2e3である場合,x=(e2e1)/(√3Ekin),ye3/Ekin−1/3として,これをx-y平面上に表示する。ただし,Ekinは全解離エネルギー(=e1e2e3)である。3つのエネルギーが等しい場合は原点に,エネルギー分配が非対称となるにつれて原点から離れた位置に表示される。図の各領域にどれくらいの頻度で現れるかを調べることで,全解離エネルギーの分配の様子(運動相関)をみてとることができる。(p.92「3体解離を新しい座標でとらえる」)

●過渡吸収分光[transient absorption spectroscopy]
パルスレーザー光を照射することで生じる物質の励起状態の時間的変化を計測する方法の1つである。ポンプパルス光とプローブパルス光を用い,ポンプパルス光によって励起された物質の状態をプローブパルス光の透過強度の変化量として観測する。透過強度はプローブパルス光が照射された瞬間の光吸収率を反映しているため,ポンプパルス光に対してプローブパルス光を照射する時間を遅らせることで過渡的に変化していく物質の吸収率の変化を計測できる。吸収率変化は物質内における電子状態の変化を反映しているため,光励起によって生じた物質の励起状態の同定やその超高速緩和機構の解明などに利用できる。(p.97「半導体ナノ粒子の高効率光電変換とマルチエキシトン」)

●秒角[second corner]
角度の単位。1秒角は1度の3600分の1。ブラックホールの影の見かけのサイズはおおむね1秒角の2万5000分の1。月の上の野球ボール程度の大きさに相当する。(p.101「ブラックホールを可視化する」)

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