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今月のキーワード

リウビルの定理 / 量子液体 / 電流ゆらぎ / 近藤効果 / 炭素循環

●リウビルの定理[Liouville’s theorem]
ハミルトンの運動方程式の解を初期時刻の相空間座標から時刻tでの相空間座標への写像と考える。リウビルの定理とは,この写像のヤコビ行列の行列式が1であることを主張する。力学系一般で成り立つわけではなく,ハミルトンの運動方程式固有の性質である。初期時刻の相空間座標の積分として表された量を時刻tの相空間座標の積分として変数変換するとき,積分測度の変換から生じる寄与を忘れても,それは1なので大丈夫だということである。(p.12「非平衡ゆらぎの理論におけるさまざまな関係式」)

●量子液体[quantum liquid]
多数の粒子によって構成される集団は,一定のかたちをもたない流動的な状態,すなわち液体となることができる。液体としての巨視的な性質(比熱など)に,粒子間の量子効果および粒子の不可弁別性が顕著に現れるとき,そのような液体を量子液体とよぶ。たとえば,金属中の伝導電子の集団は量子液体の一種であるが,そのふるまいには電子間のパウリの排他律が本質的な役割を果たす。ほかの代表的な量子液体として,液体ヘリウムが知られている。(p.16「ゆらぎで探る量子液体」)

●電流ゆらぎ[current fluctuation]
電子回路内の素子(抵抗やトランジスターなど)で発生する電流の不規則な時間的変動(ゆらぎ)のことを,電流ゆらぎ(電流雑音)とよぶ。電流ゆらぎは,電子の熱的なゆらぎに起因する「熱雑音」,電荷の離散性に起因する「ショット雑音」,さらには素子の性質の時間的な変動による「1/f雑音」など,さまざまな原因で発生する。したがって,電流ゆらぎを測定することによって,素子内部における電子のふるまいについてのくわしい情報が得られる。(p.16「ゆらぎで探る量子液体」)

●近藤効果[Kondo effect]
通常の金属では,温度を下げていくにつれ,その電気抵抗は減少していく。温度の低下とともに伝導電子が散乱されにくくなるためである。しかし,磁性不純物を含む金属の場合,低温になるにつれ,逆に,抵抗が増大していく場合がある。その原因は,不純物のスピンと伝導電子のスピンが特殊な束縛状態(スピン1重項状態)を形成することにある。1964年に近藤淳が初めて理論的に解明した。この現象を近藤効果とよぶ。(p.16「ゆらぎで探る量子液体」)

●炭素循環[carbon cycle]
大気,海水,陸水に含まれる二酸化炭素は,それらの内部と間を活発に移動し,その一部は植物の光合成によって有機物に姿を変える。有機物は生態系のなかで生物群集の生体やエネルギー源になり,空間を移動し,変質しながら,呼吸によって二酸化炭素に戻っていく。海中では石灰化生物による炭酸塩の形成や,その溶解も盛んである。大気と海と陸域をめぐる地球表層のこうした炭素の循環は,大気中と海水中の二酸化炭素濃度や海水の酸性度に大きな影響を及ぼす。化石燃料消費によって排出された二酸化炭素も,この循環に加わっていく。(p.42「海へのCO2吸収の増加と海水の3次元的循環」)

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