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今月のキーワード

偏東貿易風 / キュリオシティー探査車 / 火星隕石 / 不変質量 / 湯川結合

●偏東貿易風[easterly trade winds]
熱帯および亜熱帯の地表面付近に吹く比較的定常な東から赤道域に向かう風である。赤道域で上昇し緯度30°付近で下降し赤道域に向かう子午面内循環にともなって生じる。定性的には,30°付近で地球と同じ速度で回転している空気が赤道向きに動くと自転軸から遠ざかり,角運動量保存則に従い回転速度が遅くなり,西向きの成分を生じると考えればよい。なぜ30°より低緯度側に現れるのかなどの定量的理解には,地球全体にわたる大気大循環を考察する必要があり,本記事の主題の1つである。(p.22「熱帯地域の幅は拡張しているだろうか」)

●キュリオシティー探査車[Curiosity rover]
アメリカ航空宇宙局が,マーズ・サイエンス・ラボラトリー計画により火星に送った探査車。火星着陸(2012年8月)から3年以上を経た2015年12月現在においても,火星上での活動を続けている。太陽電池を主電力としたこれまでの探査車と異なり,原子力電池からの電力供給により,安定した探査活動が行えることが特徴の1つ。また,1世代前の探査車(スピリット・オポチュニティー)と比較し,10倍以上の科学測機(約80kg)を搭載している。(p.42「水素同位体分析で理解の進む火星の水の描像」)

●火星隕石[Martian meteorite]
火星を起源とし,地球に落下した隕石。火星に他の天体が衝突することにより,火星表層から脱出速度(約5km/s)を超えて放出され,地球へ飛来したと考えられている。150個を超える火星隕石が確認されており,その大半は南極およびサハラ砂漠を中心に2000年以降に発見された。隕石中に閉じ込められたガスの組成がバイキング探査機により分析された火星大気組成とよい一致を示したことから,火星を起源とすると認められるようになった。(p.42「水素同位体分析で理解の進む火星の水の描像」)

●不変質量[invariant mass]
実験室系,重心系など,観測する系に依存しない質量のこと。粒子のもつエネルギーをE,運動量をpとすると,m2E2p2が成り立つ。これは,粒子の崩壊前後でも成立する。たとえば,ある粒子が粒子AとBに崩壊したとすると,m2 =(EAEB2 −(pApB2が成立する,ただし,mを崩壊した粒子の質量,EA(B)pA(B)をA(B)のエネルギーと運動量とする。エネルギーはスカラー,運動量はベクトルであることに注意。(p.58「18歳からの物理:18歳からのヒッグス粒子検出」)

●湯川結合[Yukawa coupling]
ヒッグスボソンとフェルミオン(クォークや電子など,物質を構成するスピン1/2の素粒子)との相互作用の大きさのこと。フェルミオンの質量は,この湯川結合の大きさに比例している。強い力,電磁気力,弱い力,重力,以外の相互作用なので,人類が遭遇した第5番目の力といえる。(p.58「18歳からの物理:18歳からのヒッグス粒子検出」)

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