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今月のキーワード

前期熱化 / チャープ光 / フェルミ加速

●前期熱化[prethermalization]
考えている系を非平衡な状態に用意した後のふるまいとして,完全に熱平衡に達するほど十分に長い時間が経っていないにもかかわらず,多くの点で熱化したモデルを用いて記述できるような準定常状態に達する現象を指していう。重イオンの衝突実験において観測された現象を説明するために最初に導入されたが,現在では,孤立した量子多体系の非平衡ダイナミクスの基本的な問題として精力的に研究が進められている。(p.18「レーザー冷却と希薄原子気体のボース−アインシュタイン凝縮」)

●チャープ光[chirped light]
チャープとは,もともと英語では小鳥のさえずりの意味であり,鳴き声の音程が変化する様態を意味している。光パルスの場合は,パルス内で時間とともにその周波数(波長)が線形あるいは非線形に変化しているものをチャープ光とよぶ。回折格子やプリズムなどの分散素子によりチャープを導入することによりパルス幅を拡張したり,またチャープを補償することによりパルスを圧縮したりすることができる。(p.19「超短パルスレーザーの進展とその応用」)

●フェルミ加速[Fermi acceleration]
ガンマ線バーストなどでつくられる衝撃波と星間プラズマのように,異なる速度をもった磁気流体の間を,荷電粒子が磁場で散乱されながら往復することでエネルギーを獲得し,加速されるメカニズムの総称。正面衝突では加速され,追突では減速されるが,統計的には前者の頻度が勝るため全体としては加速される。荷電粒子のエネルギースペクトルはべき型となり,非熱的放射の起源や,宇宙線加速の現場と考えられている。(p.38「超大光度ガンマ線バーストに迫る」)

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