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今月のキーワード

(楽音の)過渡部分 / リートベルト法 / エーレンフェストのパラドックス

●(楽音の)過渡部分[transients(of a musical note)]
管楽器(フルート,トランペットなど)や擦弦楽器(バイオリンなど)の楽音波形(振幅を表した包絡線(エンベロープ))は典型的には図(a)のようなものになる。音の出はじめからピーク音量になるまでをアタック(attack),ピークを過ぎて音量が少しディケイ(decay 減衰)した後,ほぼ一定の音量が持続する部分をサステイン(sustain),発音を停止した後,音が消えていく過程をリリース(release)とよぶ。サステイン以外の部分が過渡部分である。シンセサイザーではこれら各部分を調整することによりさまざまな楽器の音色を再現する。撥弦楽器(ギターなど),打弦楽器(ピアノなど),打鍵楽器(木琴など)ではサステインの部分がほとんどなく,アタックの後はただちに減衰過程に入るので図(b)のような波形となる。(p.4「物理で楽器を品定め」)

図1


●リートベルト法[Rietveld refinement]
物質の結晶構造の解析法の1つ。結晶構造が未知な場合には高品質単結晶を育成してそのX線(中性子線)回折パターンを解析する必要があるが,ある程度結晶構造を推定できる場合は,粉末試料の回折パターンでも解析が可能である。オランダのリートベルト(Hugo Rietveld, 1932〜)博士が粉末回折パターンの実用的な解析法を開発した。この手法をとり入れた汎用性の高いソフトが無料で公開されている。(p.13「導電体で観測された強誘電的構造相転移」)

●エーレンフェストのパラドックス[Ehrenfest paradox]
エーレンフェストは1909年の論文で次のような矛盾を指摘した。一様回転する円板に特殊相対論を適用すると円板の外周がローレンツ収縮を受け,外周と直径の比が円周率よりも小さくなってしまう,ということである。これがエーレンフェストのパラドックスであるが,その解決には非ユークリッド幾何学を用いる必要がある。回転系は慣性系ではないので一般相対論を適用すべきだからである。(太田浩一:グロシェン橋「UP」No.498, April, pp.32〜37,東京大学出版会(2014)による)(p.20「ポール・エーレンフェストの晩年」)

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