index 2013index 12月号目次 12月号目次

今月のキーワード

走化性 / 非可換ゲージ場理論 / 食品照射 / ダビドフ分裂

●走化性[chemotaxis]
細胞が環境にある化学物質の濃度勾配に応じて行動を決定する性質のことをいう。この性質は,細胞がエサの探索や敵からの逃避といった運動方向を決定するさいに必須であり,免疫細胞や神経細胞を含め多くの細胞に共通してみられる。本稿でとり上げた細胞性粘菌の場合は,各細胞個体がcAMPを互いに放出しながら濃度勾配を自己組織化して,走化性により1か所に集合する。この集合により粘菌細胞はやがて胞子を形成して,過酷な環境を生き延びる。(p.24「真核細胞の走化性の物理」)

●非可換ゲージ場理論[non-Abelian gauge field theory]
通常の電磁気学におけるゲージ変換は位相の変換であり,電磁気学は群U(1)のもとで不変な理論とみることができる。これを一般のリー群のもとで不変なものに拡張した理論が非可換ゲージ場理論である。(p.34「ノーベル物理学賞:質量の起源とヒッグス機構」)

●食品照射[food irradiation]
食品照射とは,殺菌,殺虫,発芽防止などを目的として,農産物や食品にX線,γ線や電子線などの放射線を照射する技術である。処理時に熱をほとんど発生しないことから,加熱により風味を失う香辛料や生肉・青果物などの生鮮食品の殺菌に用いることが可能である。また,従来用いられてきたガス燻蒸や化学処理が環境に対する影響や残留性への懸念から制限されるようになり,その代替手段としても注目されている。わが国では馬鈴薯の芽止めを除いて原則として禁止されているが,世界的には欧米やアジアなど50か国以上の国々で200種を超える食品に対して照射が許可されている。(p.48「放射線と食品の出会い」)

●ダビドフ分裂[Davydov splitting]
結晶の単位胞内に存在する2つ以上の分子がたがいに相互作用することで電子や振動スペクトルが分裂する現象。分裂した一方の遷移が禁制遷移であると,1つしか吸収ピークが観測されないこともある。(p.51「2次元有機材料:チオフェンナノシート」)

index 2013index 12月号目次 12月号目次