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今月のキーワード

ベイズ推定 / パウリの排他原理 / トムソン断面積 / キルヒホッフの法則

●ベイズ推定[Bayesian estimation]
真値X(例:蛍光分子の位置)を観測値Y(例:顕微鏡像)から推定するさい,真値がXであるときに観測値がYである確率PYX)(尤度)が最大になるようにXを推定する推定法は最尤推定とよばれる。これに対し,ベイズの定理などベイズ確率の考え方を利用して,観測値Yが得られたとき真値がXである確率PXY)(事後確率)を計算し,これが最大になるようにXを推定するという推定方法がベイズ推定である。(p.25「超解像光学顕微鏡によるイメージング」)

●パウリの排他原理[Pauli exclusion principle]
1つの軌道に電子は最大2つまで収容され,2つの電子が同じ軌道を占めるとき,それらは互いに反対のスピンをとらねばならない。すなわち,1つの電子がスピン量子数ms=+(1/2)であれば,もう1つの電子はms=−(1/2)となる。(p.34「原子間力顕微鏡で見る化学結合次数の違い」)

●トムソン断面積[Thomson cross section]
光子と電子との散乱はコンプトン散乱とよばれるが,電子の静止系で測った光子のエネルギーが電子の静止質量に比べ無視できるほど小さいときには,散乱はトムソン散乱とよばれその断面積は6.65×10−25 cm2である。電子の静止系で測った光子のエネルギーが電子の静止質量程度以上になると,断面積は減少し,クライン-仁科の公式で与えられる。コンプトン散乱は宇宙における輻射過程のうち最も基本的で重要なもので,高エネルギー天体だけではなく星や宇宙論における輻射輸送でも主要な役割を果たしている。(p.52「高エネルギー天体物理学」)

●キルヒホッフの法則[Kirchihoff's law]
温度Tの物質からの輻射の放出率と吸収係数の間の関係式のこと。輻射の放出率をεν(erg s−1 cm−3 sr−1 Hz−1),吸収係数をαν(cm−1)とすると,εν/ανが温度と振動数のみの関数となることをキルヒホッフが1860年に示した。この関数が物質と熱平衡にある空洞放射の強度を与えていることになる。そして量子論の展開により,この関数がプランク関数Bν=(23/c2)/[exp(/kT)−1]となることが示されたのである。ここでhはプランク定数である。(p.52「高エネルギー天体物理学」)

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