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今月のキーワード
アインシュタインリング/ ハビタ・ルゾーン/ 恒星星震学(星震学) / 幾何音響学的手法/ラジオシティ/ ローレンツ型共鳴曲線/ 潮汐 / ラプラス共鳴
●アインシュタインリング[Einstein ring]
重力によって生じた空間のゆがみで直進すべき光の進行方向が曲げられ,背景にある天体の光があたかもレンズで集光されるように集まるのが重力レンズ効果である。そのさい,背景天体,レンズ天体,観測者が一直線に並ぶと,背景天体がリング状に見える。位置関係によっては,複数の像や円弧状の変形像が見える場合もある。存在を理論的に予見したアインシュタイン(A.Einstein)にちなんだ名称である。(p.4「太陽系外惑星観測の“現在”と“近未来”」

●ハビタブルゾーン[habitable zone]
天文学では,恒星のまわりで,水が蒸発したり凍ったりせず,液体の状態を保てる領域をさす星周ハビタブルゾーンの意味で使われる場合が多い。恒星の進化とともに,領域の範囲も変化する。太陽のまわりの46億年にわたる連続的なハビタブルゾーンは,地球・太陽の距離の0.95倍から1.15 倍までとされる。このような領域にある地球型惑星は,その表面で生命が存在する有望な候補となる。日本語では「生命居住可能領域」とよばれる。このほかに,銀河系規模のハビタブルゾーンの議論も行われている。(p.4「太陽系外惑星観測の“現在”と“近未来”」

●恒星星震学(星震学)[stellar seismology]
近年の,速度や光度の変化の精密観測によって,太陽をはじめ数多くの恒星が振動しており,さまざまな固有振動モードが励起されていることがわかった。地震が地球の内部構造の調査に利用されるように,これら多数の固有振動を利用して,直接調べることのできない太陽や恒星の内部構造を探る研究を,それぞれ日震学,星震学という。フランスの天文衛星コロー(Corot)は,星震による微弱な光度変化を調べるとともに,周回する惑星の食や位相変化による周期的な光度変化も調べている。(p.4「太陽系外惑星観測の“現在”と“近未来”」)

●幾何音響学的手法[geometrical acoustic prediction methods]
音波の波動的な性質を考慮せず,エネルギーをもった音の粒子や線(音線)を用いて音の伝搬をシミュレートする方法。数千から数百万の粒子や音線を飛ばし,直接的に壁面での反射などを考慮しながら追跡する音線追跡法と,壁面での多重の鏡面反射によって生じる多くの鏡像音源を考慮することで時系列に沿った反射音情報を得る鏡像法などが代表的である。互いの不利な点を補うように,両者を融合させた方法を用いることも多い。いずれの場合も得られる情報はエネルギー次元のインパルス応答であることが多い。(p.12「空間の可聴化」)

●ラジオシティ[radiosity]
コンピューターグラフィックスなどで用いられる表現方法の1つで,壁面などの境界に入射した光が反射によってどのように再放射され,他の境界に影響を与えるかをエネルギーの次元で評価するもの。音響分野においても,境界で反射する音のエネルギーが,他の境界へどのように影響するかを逐次計算することで室内音場を予測する手法があり,境界エネルギー積分方程式を用いた解析手法とよばれることもある。(p.12「空間の可聴化」)

●ローレンツ型共鳴曲線[Lorentz resonance curve]
有限の復元力のもとにある振動子は,摩擦力や抵抗などが働くとき減衰振動する。電磁場・光に対する応答として,たとえば複素伝導率の実部は,復元力に関係する周波数を中心にもち,減衰率に比例する幅を有する共鳴的なピーク曲線となる。これをローレンツ型共鳴曲線という。このような応答を示す固体中の励起として,局在したイオンの光学フォノンや電子の集団運動としてのプラズマ振動などが知られている。(p.30「原子のラットリング振動をテラヘルツ光で“撮影”」

●潮汐[tide]
潮汐は,ある天体の表面が,ほかの天体の潮汐力で上下する現象である。潮汐力は,当該天体の各点に働くほかの天体の引力から,当該天体の重心に働く引力を差し引いた力になる。この力のため,当該天体はほかの天体の方向およびそれと反対の方向に膨らむ。地球の海水はおもに月の潮汐力で上下し,1日にそれぞれほぼ2回の満潮と干潮が起こる。海水ほどではないが地殻も月の潮汐力で上下しており,われわれが観察する海水の上下は,実際の海水の変化から地殻の変化を減じたものになる。(p.33「木星と衛星イオの潮汐」)

●ラプラス共鳴[Laplace resonance]
月の自転周期と公転周期は1:1,水星の自転周期と公転周期は2:3 になっている。このように,2つの周期が簡単な整数比になっている現象を共鳴という。惑星・準惑星では海王星と冥王星の公転周期が2:3 の共鳴になっている。ラプラス共鳴とは,3つ以上の天体の公転周期が簡単な整数比になっている現象のことである。木星のガリレオ衛星イオ,エウロパ,ガニメデの公転周期が1:2:4の共鳴にあるのが,ラプラス共鳴の例として有名である。(p.33「木星と衛星イオの潮汐」)

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