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今月のキーワード
インデンター型圧力セル/ 毛細管現象/ 表面張力/ メニスカス/ 複製不可能定理
●インデンター型圧力セル[indenter-type high-pressure cell]
物質に高圧をかける圧力セルの一種。圧力セル内に液体の圧力媒体とともに測定試料を入れ,体積を圧縮させることで高圧が発生する。圧力セルの材料には圧縮強度や引っ張り強度が求められ,インデンター型圧力セルはNiCrAl合金,CuBe合金などから構成されている。一般的に用いられるピストンシリンダー型圧力セルに比べて,高い圧力が発生可能である。2 mm3程度の試料空間に対して,最高発生圧は約4.5万気圧である。(p.35「鉄系物質で圧力誘起高温超伝導が実現」)

●毛細管現象[capillary phenomenon]
細管中の液体が管の中を上昇( あるいは下降)する現象。毛管現象ともいう。濡れ性の高い管の壁面に沿って壁近傍の液面が上昇すると,液面の全体は凹状となり液の表面積は増加する。そうすると,液体は表面張力によって,表面積を最小にして少しでも凹状態を緩和するように,全体として液面を上昇させようとする。この表面張力によって引き上げれられる力と,これに拮抗する液体の重さがつり合うところまで,液面が上昇( あるいは下降)する現象が毛細管現象である。重さは管の断面積と細管中の液面の高さで決まるため,断面積が非常に小さくなれば,高さが非常に大きくなる。(p.41「水はどのようにして木の先端まで運ばれるのか」)

●表面張力[surface tension]
一定の体積に対して表面積をできるだけ小さくしようとする傾向をもつ液体の性質,および,そのために発生させる界面張力。その強さは,面積あたりの表面自由エネルギーで示される。(p.41「水はどのようにして木の先端まで運ばれるのか」)

●メニスカス[meniscus]
語源は“ 三日月”“ 新月”で,円筒内の液体の表面が容器の表面との相互作用によって凸状あるいは凹状になる液面の屈曲のこと。液面の形状が凹凸のどちらになるかは,液体と容器の壁面との関係で決まる。たとえば,濡れ性の高い状態にあるガラス管の中の水のように液体分子を引きつける力が液体よりも容器の内壁の方が強い場合には凹状になる。逆に,ガラス管の中の水銀などの場合には液体分子を引きつける力が容器の内壁よりも液体の方が強いため凸状となる。(p.41「水はどのようにして木の先端まで運ばれるのか」)

●複製不可能定理[no - cloning theorem]
任意の量子状態を忠実に複製する操作は存在しないという定理。ある偏光をもった光子から,それとまったく同じ偏光をもつ光子を複数つくり出すことができる複製装置があったとしても,その装置はどんな偏光の光子でも完全な複製をつくれるわけではない。これは量子力学の基本的な性質である線形性から導き出される。この定理は量子暗号のセキュリティーの1つの根拠である。(p.44「量子の世界,複製不可能定理」)

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