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今月のキーワード
プランク長/ エクピロティックシナリオ/ プラズモン/結合定数・解離定数/ 有限差分時間領域法/ ライマンαの森/ Facebook / MySpace / LinkedIn
●プランク長[Planck length]
重力定数,プランク定数,光速からつくられる,重力,量子論,相対論がからむ現象に現れる特徴的な長さ。重力場の量子ゆらぎが無視できなくなるような長さのスケールを表していて,およそ10−33cmである。このような長さのスケールでは,もはや一般相対性理論は成り立たなくて,量子重力理論が必要となる。現在,量子重力理論のもっとも有力な候補は超弦理論であると信じられている。(p.18「インフレーション宇宙論の対抗馬」)

●エクピロティックシナリオ[ekpyrotic scenario]
クーリー( J.Khour y ), オブルト(B. A.Ovrut), シュタインハート(P. J. Steinhardt), テュロック(N.Turok)によって2001 年に提唱されたインフレーション理論の代替理論。M理論に示唆されて考え出されたもので,ビッグバンはブレーンの衝突によって引き起こされたとするものである。ゆらぎはこの衝突以前にインフレーションとは違う機構によってつくられる。そのため,原始重力波が存在しないという特徴がある。その後,この理論はサイクリック宇宙論へと発展する。衝突時に特異点が発生するという問題点はあるものの魅力的なアイディアであるため,現在もさかんに議論されている。(p.18「インフレーション宇宙論の対抗馬」)

●プラズモン[plasmon]
貴金属中の自由電子の集団的振動。サイズが100nm以下の金属微小体においては,紫外ないしは可視光の照射により,局在表面プラズモンが励起される。共鳴周波数はサイズ,形状,元素種のみならず,近傍の誘電率にも依存することから,光学的センサーの原理としての利用が期待されている。また,微粒子近傍においては強い近接場光が発生することから,表面増強分光法への利用が広く研究されている。(p.28「貴金属とバイオセンシング」)

●結合定数・解離定数[couplingconstant, dissociation constant]
可逆的に反応する分子A とB(A + B ⇔A B )の結合強度は結合定数kA = ka( 結合速度定数)/kd( 解離速度定数)で表され,化学平衡状態における[AB]/[A][B]([ ]は濃度)から求められる。古典的にはラジオアイソトープを用いて複合体ABの濃度を測定することにより求められていたが,表面プラズモンセンサーの出現により簡便な測定が可能となった。抗原抗体反応の結合定数値は107 から109M程度である。解離定数は結合定数の逆数である。(p.28「貴金属とバイオセンシング」)

●有限差分時間領域法[finite differencetime domain method]
時間領域において電磁界を計算する電磁界数値解析法であり,すべての周波数帯域における成分を同時に求めることができる。空間を直交格子で均一に刻み,マクスウェル方程式を時間軸と空間軸に対して中央差分し,電界と磁界を交互に求めていく。複雑な形状の物体もしくは誘電率が不均一な対象においても,格子サイズを小さくすることにより容易に対応でき,パルスのような過度的現象の解析にも有効である。(p.28「貴金属とバイオセンシング」)

●ライマンαの森[Lyman α forest]
クェーサーのような遠くの天体のスペクトルにはたくさんの吸収線が見られる。これらは,視線上の銀河間空間にあるガス雲がクェーサーの光を吸収することで生じる。吸収線の波長は,ガス雲を構成する原子の種類とガス雲の赤方偏移で決まり,吸収線の強さはガスの量で決まる。吸収線の強さはさまざまだが,圧倒的に数が多いのは弱い吸収線である。これは水素原子のライマンα遷移によるもので,吸収線がスペクトル上で森のように密集していることから「ライマンαの森」とよばれている。その正体は,銀河間空間に横たわるフィラメントのような構造やごく軽い銀河だと考えられている。これらは暗すぎて直接見ることはできないが,たまたまクェーサーの手前にあれば,あたかも影絵のように,吸収線として検出される。(p.36「行方不明のバリオンがついに見つかり始めた」)

●Facebook
2004 年に,ハーバード大学の学生だった,ザッカーバーグ(M. E. Zuckerberg)が始めたSNSである。当初は大学生のみが利用することができたが,2006 年9 月以降は一般の利用者にも開放された。ユーザーがさまざまなアプリケーションを開発しツールとして公開することが可能であり,また,モバイル端末にも対応している。特徴的なのは,大学など,参加者の所属によってURLが異なることであるが,別のネットワーク間でも相互にアクセスすることができる。(p.53「社会的ネットワークの解明に取り組む物理学者たち」)

●MySpace
2003 年7 月に開始されたSNSである。若者の生活文化のなかで大きな比重を占める,音楽を中心したユーザー間の利用をめざしたコミュニティーづくりに特化している。招待制をとっておらず誰でも登録でき,プロフィールを公開することができる。「ユーザー」と「アーティスト」の2 種類の会員区分がある。音声ファイルや画像ファイルを公開するサービス,会員間でメールを交換するなど,親交を広げるためのサービスなどがある。大きな特徴として,プロフィールのレイアウトをかなり自由にカスタマイズできる。(p.53「社会的ネットワークの解明に取り組む物理学者たち」)

●LinkedIn
2003 年にカリフォルニアで開始された,ビジネスに特化したSNSである。個人のプロフィール,個人間のネットワークとメッセージ,求人や求職のマッチング,会員同士が質問に答えあう“Answers”で構成されている。無料で登録することができ,知人からの紹介はなくてもよい。紹介メールを元に登録もできる。過去の仕事のリストが前面に出ていて,現在の仕事を複数併記できる。プロフィール画面から検索窓を使って,マッチングするための情報を得るのが基本的な使い方である。(p.53「社会的ネットワークの解明に取り組む物理学者たち」)


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