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今月のキーワード
ベルの不等式 / 染色体 / 微小管 / 量子スピンホール効果/ レイノルズ数
●ベルの不等式[Bell inequalities]
アインシュタインらは量子力学における波動関数による記述は完全ではないとし,局所的実在論を支持した。全ての物理量の測定値は系の確定した属性により決定され,空間的に隔たったところで生じた事象から瞬間的に作用が及ぼされることはないとする局所的実在論に基づく理論において,物理量の測定値の相関に課される限界を表すのがベルの不等式である。ベル(John S. Bell)によって最初に導かれたものおよび類似のものを総称していう。偏光状態のエンタングルした2つの光子を用いた実験などによりこれが破られていることが検証されており,これは局所的実在論に基づく理論を否定し量子力学が正しいことを示唆するものである。(p.33「1m離れた原子のエンタングルメント」)

●染色体[chromosome]
真核細胞の核内に存在し,遺伝子の保存と発現を担う生体物質で,細胞周期の分裂期に見られる凝集形態である。DNAと塩基性タンパク質であるヒストン,およびその他の多様なタンパク質から構成される。塩基性色素でよく染色されるところから名づけられた。ヒトは,22組の相同染色体と2本の性染色体の計46本の染色体をもっている。(p.39「電場によるがん治療」)

●微小管[microtuble]
真核細胞に広く存在する外径約25nmの管状構造で,aチューブリンとβチューブリンから構成されるヘテロ2量体が基本単位となり重合した繊維構造体である。その機能は多岐にわたっており,細胞骨格を構成するほか,細胞内小器官や物質の輸送,紡錘体の伸長や染色体の移動など,細胞内のさまざまな動的過程に関与している。(p.39「電場によるがん治療」)

●量子スピンホール効果[quantum spin Hall effect]
強磁場中の2次元電子系の量子ホール状態ではエッジ状態が電流を運ぶ。量子スピンホール系はこれと似て,絶縁体でありながらフェルミ準位にかかるエッジ状態がスピン流を運ぶというものである。量子スピンホール効果はゼロ磁場で観測されるトポロジカル秩序の一種と位置づけられる。(p.42「量子スピンホール効果が観測された」)

●レイノルズ数[Reynolds number]
流れの性質を表す指標の1つ。流れの慣性力と粘性力の比を示し,数値が大きいと粘性力が小さく,サラサラした流れに近づき,数値が小さいと粘性力が大きい,ネバネバした流れに近づく。数値は〔レイノルズ数〕=〔流れの速度〕×〔物体の大きさ〕/〔動粘性係数〕で与えられる。動粘性係数は,流体の粘性係数を密度で割った値で,空気で1.5×10−5m2/秒,水で1.1×10−6m2/秒,程度である。したがって1mの大きさの物体が1m/秒の速度で運動していると,レイノルズ数は空中で約0.7×105,水中で0.9×106となり,水中の運動の方が粘性力の影響が小さいことがわかる。(p.61「動物に学ぶ 昆虫に学ぶ微小飛行体」)


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