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今月のキーワード
ド・ハース‐ファン・アルフェン効果 / シュブニコフ‐ド・ハース効果 / 秤動 / 超新星 / 光周波数コム / ラム‐ディッケ効果
●ド・ハース‐ファン・アルフェン効果
[de Haas-van Alphen effect]
金属の磁化が加えた磁場の逆数に対して,周期的に振動する現象。磁場中で伝導電子のサイクロトロン運動が量子化され,エネルギーが離散的な順位(ランダウ順位)になるためにおこる量子現象である。他の熱力学的な物理量も振動するが,特に磁化の振動をド・ハース‐ファン・アルフェン(dHvA)効果とよぶ。振動の振動数,振幅を解析することによりフェルミ面の大きさ,電子の有効質量,散乱などの知見を得ることができる。(p.76「高温超伝導体で量子振動がついに見えた」)

●シュブニコフ‐ド・ハース効果
[Shubnikov-de Haas effect]
金属物質の抵抗または伝導度が磁場の逆数に対して,周期的に振動する現象。ド・ハース‐ファン・アルフェン効果と同じく,磁場中での離散的なランダウ順位によって生じる量子現象である。ただし,熱力学的な物理量の振動ではなく,電子の散乱に寄与する状態密度が周期的に変動するために生じる。振動の振動数からフェルミ面の大きさを知ることができるが,ド・ハース‐ファン・アルフェン効果にくらべ振幅の解析は単純ではない。(p.76「高温超伝導体で量子振動がついに見えた」)

●秤動[libration]
秤動は,ある天体からその周囲を公転する別の天体を観察したときに,公転天体が行う振動運動のことを指す。公転天体の自転軸と公転面の軸との間の傾きなどが原因の見かけの秤動と,公転天体が他の天体の重力などにより実際に振動していることによる秤動がある。見かけの秤動は,地球から月を観察した場合の光学的秤動として知られる。(p.81「レーダーが明らかにした水星の溶融中心核」)

●超新星[supernova(e)]
重い星が最期に起こす爆発。主に2つのメカニズムが知られている。質量が太陽のおよそ10倍以上の星では中心領域で起こる核反応の結果,鉄を主成分とする中心核が形成される。この中心核が激しく収縮するさいに解放される重力エネルギーによって外層を放出して重力崩壊型超新星になる。また,連星系中にある炭素と酸素を主成分とする白色矮星は伴星からガスを奪い質量を増し限界質量(太陽質量の約1.4倍)に達すると,中心付近で炭素の核融合反応が暴走して星全体を吹き飛ばし炭素爆燃型超新星になる。(p.84「超新星の新しい爆発のメカニズム?」)

●光周波数コム[optical frequency comb]
フェムト秒レーザーとよばれる超短パルスレーザーでは,パルスの繰返し周波数frep間隔で並んだ広帯域な櫛(コム,comb)状のスペクトルが発生する。このn番目の櫛に対応する光の周波数は,くり返し周波数frepとオフセット周波数f0(<frep)を使って,fn = f0 + nfrepと表される。ラジオ波からマイクロ波帯の周波数 frep, f0を正確に測定することによって,従来電気的に直接測定することが困難だった光周波数帯に等間隔の目盛りfnができることから,光周波数コムは“光のものさし”として高精度光周波数計測に不可欠な手法となっている。(p.96「“標準”はいま――光格子時計」)

●ラム‐ディッケ効果[Lamb-Dicke effect]
領域Δxに閉じ込められた原子の運動に伴うドップラー効果は,閉じ込め周波数Ωで量子化された運動サイドバンド nΩ(n=0, ±1, ±2,…)として観測される。観測する光の波長をλとするとき,Δx/λ <<1とすることで高次サイドバンドのスペクトル振幅が減少しキャリヤー(n=0)に集中する結果,ドップラー効果が抑制される(ラム‐ディッケ効果)。この原子が光を吸収するさいには,「トラップ+原子」が系全体として光子の反跳エネルギーを引き受けるため反跳シフトが消失する(メスバウワー効果)。(p.96「“標準”はいま――光格子時計」)