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今月のキーワード
等質リーマン構造 / CP非保存 / ニュートリノ混合角 / レッジェポール
●等質リーマン構造[homogeneous riemannian structure]
多様体上の各点で接ベクトルの大きさを測る基準をリーマン計量といい,多様体にリーマン計量を付随させた組をリーマン構造という。リーマン構造は,多様体のゆがみ具合を規定し,体積,曲率などの幾何量が自然に定まる。リーマン構造が等しい多様体は等長的であるという。ある多様体上のリーマン構造が等質であるとは,構造が各点に寄らないこと,すなわち,任意の2点は等長的な近傍をもつことと定義される。(p.17「ポアンカレ予想は解決!」)

●CP非保存[CP violation]
荷電共役Cと空間反転Pの積CPに関して相互作用が不変でない(CP非保存がある)とき,粒子と反粒子の相互作用には違いが現れる。標準理論では3世代のクォークの混合行列内の1つの位相により,クォークの弱い相互作用におけるCP非保存が記述される。近年ニュートリノに質量があることが確立し,レプトンセクターにもCP非保存が存在し得ることが結論されるにいたり,ニュートリノ混合におけるCP非保存がニュートリノ研究の重要課題となっている。(p.35「ニュートリノの未知の混合角の探求」)

●ニュートリノ混合角[neutrino mixing angle]
ニュートリノには3種類のフレーバー(電子型,ミュー型,タウ型)が存在するが,そのフレーバー固有状態と質量固有状態は一致しておらず,二者は混合行列で関係付けられる。混合行列の物理的自由度は3つの角度(ニュートリノ混合角)と1つの位相(CP非保存位相)に対応する。3つの混合角のうち,太陽・大気ニュートリノを記述するものはそれぞれの値が約π/6,約π/4であることが知られているが,3番目のものはまだ上限値(π/16)しか知られていない。(p.35「ニュートリノの未知の混合角の探求」)

●レッジェポール[Regge pole]
通常,量子論では角運動量l はとびとびの値をとる(たとえば整数)。レッジェ(T. Regge) は,1959 年,l を連続変数とくに複素変数に拡張する方法を考え出した。散乱振幅はl についての極=レッジェポールに支配される。レッジェポールの位置(角運動量の値)は複合系のエネルギーEの関数l(E)である。これは複合系である太陽系の惑星の角運動量l が惑星のエネルギーEの関数であるのと同様のことである。素粒子が複合粒子であるとすれば,レッジェポールは,素粒子の複合性の端的な反映と考えることができる。(p.45「メイドインジャパン物理用語 素粒子・原子核編 坂田模型」)