index 2006index 2月号目次 2月号目次

今月のキーワード
銅酸化物(高温)超伝導体 / 弱結合 / トポロジカル量子数 / 暗黒物質 / クーロン相 / ヒッグス相 / 閉じ込め相
●銅酸化物(高温)超伝導体
[(high-temperature)cuprate superconductors]
30K以上で超伝導を示す超伝導体を高温超伝導体とよんでいる。高温超伝導体のほとんどは,銅酸化物を基本とした化合物である。これら超伝導体の特徴は,銅と酸素からなる平面(CuO2面とよばれる)を有することであり,この平面に沿って超伝導電流が流れる。これら超伝導体を総称して,銅酸化物高温超伝導体とよんでいる。(p.29「高温超伝導体の応用が始まった」)

●弱結合[weak link]
超伝導体内において,まわりよりも超伝導結合の弱い部分を弱結合とよんでいる。銅酸化物高温超伝導体は当初,焼結法によって作製されていた。このとき,結晶粒界が弱結合となり,電力応用にとって重要な超伝導電流が低下したため,いかに弱結合を減らすかが研究の重要テーマとなった。一方,デバイス応用では,弱結合を積極的に利用して,磁場検出器用の素子開発も行われている。(p.29「高温超伝導体の応用が始まった」)

●トポロジカル量子数[topological charge]
場の配位で決まる整数。整数値しかとらないので,場の連続変形では保存され,多くの場合ソリトンのもつ保存量となる。直観的には,2次元で渦のある状態から,連続的に何もない状態に移れないことをイメージすればよいと思う。これは場の漸近的ふるまいが,空間のループ上で何回巻き付いたかを表す数ととらえることができるので,巻き付き数(winding number)とよばれることが多い。数学のホモトピーの分野と非常に関係が深い。(p.40「ソリトンの異端児Qボール」)

●暗黒物質[dark matter]
宇宙のエネルギー密度の約3割を担っていると思われている未知の物質。その名の通り光を発せず,われわれをつくっている物質との相互作用も非常に弱いと考えられているので,直接の観測はされていないがさまざまな観測と理論の比較から存在そのものは確実であると思われている。ここであげたソリトン以外にも,超対称性理論のもっとも軽い超対称粒子(陽子の100倍程度の重さ)などが有力な候補としてあげられている。エネルギー密度の残りの7割のほとんどは真空のエネルギーであり,われわれが知る物質は全体の5%以下の寄与しかないことは,やや驚くべき事実ではないだろうか。(p.40「ソリトンの異端児Qボール」)

●クーロン相[Coulomb phase]
水の存在のパターン(相)は液体のほかにも水蒸気や氷とさまざまである。ゲージ場もゲージ対称性を特徴付けるゲージ群や系の次元,温度などの諸条件により,いろいろな相を取りえることが知られている。ゲージ場の各相は距離r離れた互いに反対の符号をもつ2つの点電荷の間に蓄えられる位置エネルギーV(r)の形で区別できる。クーロン相はゲージ場の代表的な相の1つで,よく知られたクーロンの法則V(r)∝ 1/r が成り立つ。電磁相互作用(電磁気学,U(1)ゲージ群)の世界で実現している。(p.52「素粒子と物性のキャッチボール ゲージ理論はコミュニケーションの基本だ!」)

●ヒッグス相[Higgs phase]
ゲージ場の相の1つ。距離r離れた2つの電荷間の位置エネルギーがV(r)∝exp(−mr)/rとなる。真空をある種の粒子(例:ヒッグス粒子)が一定の濃度で埋め尽くしている場合(対称性の自発的破れとよばれる)に実現し,電荷間の力の到達距離が1/m程度の短距離力となるのが特徴である。弱い相互作用(SU(2)ゲージ群)の世界で実現していて,そこでのmはWボソンやZボソンの質量である。(p.52「素粒子と物性のキャッチボール ゲージ理論はコミュニケーションの基本だ!」)

●閉じ込め相[confinement phase]
ゲージ場の相の1つ。距離r離れた2つの電荷間の位置エネルギーがV(r)∝r となる。この相では電荷から湧き出る電気力線は3次元的に広がらず1次元的に絞られて相手の電荷めがけてまっすぐ伸びる。このため,電荷を単独で分離(相手電荷から無限に離す)しようとしても無限大のエネルギーが必要となるので分離は不可能である。強い相互作用(SU(3)ゲージ群)の世界で実現していて,クォークの閉じ込め(クォークが単独で発見されないという事実)を説明できる。(p.52「素粒子と物性のキャッチボール ゲージ理論はコミュニケーションの基本だ!」)