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今月のキーワード
ディラトン / スカラー・テンソル理論 / 弱い等価原理 /ラマン散乱
●ディラトン[dilaton]
元来はスケール変換(dilatation)にともなう南部-ゴールドストーン場として考えられたスカラー場。この意味で元来質量ゼロだが,スケール変換が破れるさいに有限の質量を獲得する可能性がある。ひも 理論にも計量テンソル場のパートナーとして登場する。スカラー・テンソル理論に現れるスカラー場がディラトンとしての性質をもつという考えもある。特にゼロでない質量をもつ場合,有限到達距離をもつ非ニュートン的重力をつくり出すとも期待される。(p.30「あの話題その後:“第5の力”のその後」)


●スカラー・テンソル理論[scalar-tensor theory of gravity]
アインシュタインの一般相対論は時空の計量テンソル場を基にしてつくられているが,スカラー場が同様に基礎的役割を果たす理論があり,スカラー・テンソル理論とよばれる。 ヨルダン(1955)によって創始され,後ブランズとデイキー(1961) によって展開された。最初は,重力定数が時間とともに変化するというディラックの説を具体化することを目標としたが,現在では宇宙の加速膨張をになう暗黒エネルギーの候補としても注目されている。(p.30「あの話題その後:“第5の力”のその後」)


●弱い等価原理[weak equivalence principle, WEP]
ニュートン力学では,質量は2種類の性質――慣性質量と重力質量――を合わせもつが,両者は実際には完全に相等しいものとみなされた。これにより,あらゆる物体は共通の自由落下加速度をもつ。アインシュタインは,これには理由があると考え,特に等価原理とよんで一般相対論の基礎のひとつとした。完成した幾何学的理論では,この原理はさらに抽象的な形に高められるが,出発点となった普遍的自由落下を特に弱い(意味の)等価原理とよぶ。(p.30「あの話題その後:“第5の力”のその後」)

●ラマン散乱[Raman scattering]
ラマン散乱とは,物質に入射した光が散乱されるさい,物質の種々の素励起のエネルギー分だけ振動数のずれた散乱光が得られることをいい,物質による光の非弾性散乱であるといえる。狭義には,素励起が分子振動や格子振動(光学フォノン)である場合の散乱をいう。非常に強いレーザー光が入射すると,非線形光学効果により散乱光の増幅が起こる。これを誘導ラマン散乱とよび,指向性が高く位相のそろったコヒーレント散乱光が得られ,ラマンレーザー,ラマン増幅器などへ応用される。(p.45「光励起近赤外シリコンレーザー」)



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