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今月のキーワード
線型コライダー / ヒッグス粒子 / ルミノシティー / シンクロトロン放射 / 対称性の破れ / ゲージ理論
●線型コライダー[linear collider]
加速された粒子を正面衝突させ,そのさいにおこる粒子の反応を調べる装置。粒子の集まり(バンチ)を円上を回転させて,衝突を何度もおこさせるものを円型コライダー,逆方向から直線上を加速させ,1回だけ正面衝突させるものを線型コライダーという。線型コライダーはシンクロトロン放射が少なく,加速のエネルギー効率に優れているが,ビームを一回一回捨てるため,目的とする反応をおこすのに,円型コライダーにくらべ高いルミノシティーを必要とする。(p.6「“究極”のTeV線型コライダー」)


●ヒッグス粒子[Higgs boson]
素粒子標準模型では,ヒッグス粒子というスピン0の粒子が予言される。この粒子は空間の場所に依存しない期待値をもち,この結果,ヒッグス粒子と相互作用をするすべての粒子が,実質的に質量があるようなふるまいをする。ヒッグス粒子の質量は,標準模型唯一の質量変数である。ヒッグス粒子は未発見で,この粒子が素粒子であるのか,この質量変数がどのようにして生まれたかは謎であり,加速器衝突実験による探索が続いている。(p.6「“究極”のTeV線型コライダー」)


●ルミノシティー[luminosity]
加速器の性能を表す変数の一つで,散乱断面積とルミノシティーの積が事象がおこる頻度になるように定義される。コライダーの場合はこの量は,ビームのバンチ内の粒子数,バンチが単位時間内に出会う回数に比例し,ビームの太さに反比例する。高いルミノシティーを得るためには,ビーム内の粒子数を増やし,ビームを細く絞ることが必要であるが,電子は電荷をもち互いに反発するので,これにはさまざまな困難が伴う。(p.6「“究極”のTeV線型コライダー」)
●シンクロトロン放射[synchrotoron radiation]
荷電粒子が磁場によって軌道を曲げられるときに光を放射することで,この放射光は電子のエネルギーが高ければ,ビームの接線方向に放射される。高エネルギーの粒子衝突実験では,この放射光によるエネルギー損失や,加速管の加熱をいかにコントロールするかが重要な課題となる。単位時間に放射される放射エネルギーは粒子のエネルギーの4乗,半径の逆2乗,荷電粒子の質量の逆4乗に比例する。(p.6「“究極”のTeV線型コライダー」)


●対称性の破れ[symmetry breaking]
並進対称性や回転対称性などの直観に訴えるものから,ゲージ対称性のように抽象的なものまで物理学にはさまざまな対称性が現れるが,これは系を記述するハミルトニアンに表現されている。しかし,粒子(自由度)の数が膨大になった場合,集団現象として基底状態がこの対称性をもたないことがあり,これを(自発的)対称性の破れとよぶ。スピンが全体として揃ってある特別の方向を向く強磁性や,ゲージ対称性が破れる超伝導などはその代表例である。(p.57「素粒子と物性のキャッチボール 構造をもつ“真空”」)


●ゲージ理論[gauge theory]
ゲージとは本来“ものさし”という意味であるが,観測するための座標を時空の各点でそれぞれ勝手に選べるという理論体系をゲージ理論とよぶ。そこで重要になるのは,近接した点の座標系間の“関係”であるが,これを表すのが“ゲージ場”であり,数学的には“接続”とよばれる。電磁場はゲージ場の雛形であり,量子色力学,弱電統一理論など今日の物理学の基礎理論はすべてゲージ場で書かれている。(p.57「素粒子と物性のキャッチボール 構造をもつ“真空”」)




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