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今月のキーワード
プラズマ波 / クーロン結晶 / 双極子グラス / ランダム場 / ランダム結合 / ソフトフォノン(モード)/ 振動交換結合
●プラズマ波[plasma waves]
プラズマ中ではゆらぎが波として伝わることができ,プラズマ中の波動(プラズマ波)はさまざまな特性をもっている。電荷密度のゆらぎは静電波であり,電磁場のゆらぎは電磁波となる。静電波ではプラズマ構成粒子が集団運動を起こしている。イオンに比べ電子は非常に軽く動きやすいため,電子の密度揺動はプラズマ振動を引き起こし,その振動が空間的に伝わるとき電子プラズマ波(または単にプラズマ波)とよばれる。プラズマ中の波は磁場や密度勾配等の存在によってさらに多様性を帯びることになる。(p.7「偏在するプラズマ中の微粒子」)


●クーロン結晶[Coulomb crystal]
電子ガスの密度が低くなるとクーロン斥力の効果を最小にするように結晶化することがウィグナーによって予測されていた。こうした電子だけでできるウィグナー結晶が70年代末に液体ヘリウム上で観測され,その後80年代にレーザー冷却されたイオンの結晶配列,90年代にはダスト微粒子の結晶構造が観測された。粒子間に働くクーロン相互作用が粒子の運動エネルギーを上回るときに,荷電粒子が閉じ込め力とクーロン斥力のつり合いによりつくる規則正しい構造をクーロン結晶とよぶ。(p.7「偏在するプラズマ中の微粒子」)


●双極子グラス[dipole glass]
固体中にプラスの電荷をもつイオンとマイナスのイオンの重心がずれてダイポール(電気双極子)が発生するとき,その向きが場所によっていろいろな方向を向いている系のことをいう。双極子がほぼ同じ方向を向いている領域は結晶の大きさに比較して非常に短い。この用語は,ガラス(グラス)の中で規則的な構造をとる領域が結晶に比較して短い,ということからきている。電気双極子を磁気双極子(スピン)に置き換えた系はスピングラスとよばれている。(p.18「リラクサーの謎」)

●ランダム場[random field]
結晶中の原子は,周囲の原子のつくる静電的なポテンシャルの一番低い状態(ポテンシャルミニマム)を中心として振動している。しかし不純物やランダムボンドが存在するときには,原子が受ける力は単位胞ごとに異なる。このような力を与える場のことをランダム場という。(p.18「リラクサーの謎」)


●ランダム結合[random bond]
リラクサーのような複合ペロブスカイト結晶では,化学式ABO3(ここでOは酸素)のAあるいはBサイトが2種類の原子で占有される。したがってある単位胞ではA-O結合(ボンド)が,別の単位胞ではB-O結合が存在し,それが結晶全体でランダムに分布している。このような結合状態のことをランダム結合という。(p.18「リラクサーの謎
●ソフトフォノン(モード)[soft phonon (mode)]
ある温度(キュリー温度)以下で自発的な電気分極(自発分極)をもつ結晶のことを強誘電体とよぶ。強誘電性は,結晶全体にわたってプラスのイオンとマイナスのイオンの重心がずれるために起こるが,その中で光学的な横波の格子振動モード(TOフォノン)が関与している場合がある。この場合,TOフォノンの振動数がキュリー温度に近づくにつれ低くなり,ついには0となる。このときプラスのイオンとマイナスのイオンが相対的にシフトして自発分極が発生する。このフォノンのことをソフトフォノン(モード)とよぶ。(p.18「リラクサーの謎」)
●振動交換結合
[oscillatory exchange coupling]
非磁性物質層で隔てられた2つの磁性層の間に働く磁気的結合の強度が,その符号を含めて非磁性層の厚みとともに振動する現象。非磁性層に閉じ込められた電子の量子干渉効果により発生する。物質の組み合わせと非磁性層の厚みの調整により,外部磁場がない状態の2つの磁性層の磁化の相対的な向きを平行または反平行とすることができる。応用には反平行状態が重要で,合成人工反強磁性体として用いたり,外部磁場をかけたときの磁化方向の変化を検出する基準として用いられる。(p.34「実用に一歩近付いた磁気ランダムアクセスメモリー」)



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