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今月のキーワード
光のスピン / 氷床コア(解析) / (量子)非破壊測定 / 欠陥によるBEC
●光のスピン[photon's spin]
光子のもつ固有角運動量。大きさは1。一般にスピンsの粒子は2s+1個のスピン状態をもつが,光子のように質量をもたない粒子のスピン状態は2個しかない。このスピン状態は,右回りと左回りの円偏光に対応する。(p.16「量子化された光の軌道角運動量」)


●氷床コア(解析)[ice core (analysis)]
ここでいうコアとは堆積物を円筒型に掘り出したものを指し,氷の場合は主に大陸氷床から採集するためこうよばれる。物性,同位体化学組成,含有物質の解析から堆積当時の環境や氷床内部の情報を得るための重要な資料である。(p.25「急激な気候変動の発見」)


●(量子)非破壊測定[quantum non-demolition experiment]
ある量子状態にある系を“測定”する,ということは,通常,測定されるオブザーバブルの固有関数の状態へ“移行”させることを意味する。したがって,測定により系の状態は変化してしまう。これが破壊的な測定である。これに対して,状態の変化なしに物理量の測定を行うことが可能であるとき,これを(量子)非破壊測定とよぶ。オブザーバブルの中には,原理的に非破壊測定ができないものもあり(例:自由粒子の位置測定。一般に非破壊測定が可能であるためには異なる時間に対する演算子が可換である必要がある),非破壊測定が可能なものを,量子非破壊オブザーバブル,とよぶ。(p.40「量子光学系を半導体チップ上に圧縮」)

●欠陥によるBEC[defect - mediated BEC]
ボース‐アインシュタイン凝縮(BEC)は,ボース統計に従う粒子の集団が低温で流体状態を保つときに起こる相転移現象である。固体ヘリウム4のようにボース粒子が結晶を組んでしまうと,通常の意味でのBECは起こらない。しかし結晶中に空格子点のような「欠陥」が存在する場合,欠陥を粒子と見なすとやはりボース統計に従うので,多数の欠陥が存在し,かつそれが結晶中を動ける場合は欠陥がBECを起こす可能性がある。「欠陥によるBEC」は,実空間での秩序(結晶)と運動量空間での秩序(BEC)がひとつの物質中に共存するという,たいへんユニークでおもしろい状態である。(p.44「より確実になった固体ヘリウム4の“超流動”」)



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