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今月のキーワード
北大西洋深層循環/熱塩循環/氷床コア/フェッシュバック共鳴/フェルミ定数
●北大西洋深層循環[NADW(North Atlantic deep water) circulation]
深層循環を形作っている北大西洋での深層循環のことである。グリーンランド沖や, ラブラドル海では,冬季の強い冷却により深い対流が起きる。この深く沈みこんだ水が,大西洋深部で南下してゆく。この対流がどこまで沈んでゆくかは,表面の塩分濃度に大きく依存する。また,この水を補償するために,ガルフ流が太平洋表層を流れている。したがって,地球温暖化にともない北大西洋に淡水が供給されると,塩分が少なくなり,対流が起きなくなり循環が止まるのではないかという仮説が提出されてきた。(p.14「気候ショック」)


●熱塩循環[thermohaline circulation]
海洋の地球規模の循環(海流とよばれている)には,大気の風によって駆動される風成循環と,海水の密度差によって駆動される循環とが存在する。海水の密度は温度と塩分によって決まるので,2つの名前をとって熱塩循環とよんでいる。風成循環は表層の循環であるのに対し,熱塩循環は深層におよぶ循環であるので,深層循環ともよんでいる。このような海水の密度は,海氷の生成や,淡水フラックスの供給や冷却などで決まる。特に,熱塩循環を駆動するような重い海水は,北大西洋のグリーンランド沖と,南極海のロス海,ウエデル海で起きるとされている。この熱塩循環を模式的に提出したブローカーのコンベヤーベルトという図が有名である。(p.14「気候ショック」)

●氷床コア[ice core]
南極やグリーンランドの大陸氷床は,雪が何千年から何万年と堆積したものである。氷床は,粘弾性体であるので流動する。そして,端から,氷山となったり,解けたりしてお餅状の平衡状態になる。降雪が堆積するときに,大気を泡の形で取り込み,氷の中に閉じ込めておくことになる。したがって,この氷の中の気体を分析すること,あるいは,氷の同位体や氷の中に堆積している物質を分析することにより過去の大気の状態が推測できる。そのためには,年代決定が決定的に重要になる。氷床の中心部では,水平方向の流動がないと仮定することができそうなので,氷は鉛直に堆積したものと考えられる。そこで,このような氷床の頂部でボーリングを行い棒状の氷を採掘する。海底コアや湖沼のコアと原理は同じである。(p.14「気候ショック」)

●フェッシュバック共鳴[Feshbach resonance]
2個の独立系がエネルギーE0で衝突するさい(たとえば電子状態s2p0の原子と運動エネルギーE0の電子),1つの安定な束縛系の励起状態(電子状態s1p2の安定なイオン)とエネルギー的に共鳴する場合をフェッシュバック共鳴という。今回の場合は,磁場中でエネルギーゼロの極限で衝突する2個の原子が,その磁場強度における2原子分子の振動励起状態とエネルギー的に共鳴する場合を指す。磁場強度を変化させることでこの共鳴点を見つけることができる。(p.33「フェルミオン原子のクーパーペアリング?」)


●フェルミ定数[Fermi constant]
ベータ崩壊などの弱い相互作用は,低エネルギーではクォークやレプトンなどのカレント(波動関数の2次でつくられる量)の積で書けることが知られている。これをカレント・カレント相互作用(または4体フェルミ相互作用)とよび,この相互作用定数はフェルミ(相互作用)定数とよばれている。この量は次元をもつ物理量で,GF=1.17×10−5GeV−2程度の値をもつ。この4体フェルミ相互作用の起源は,電弱相互作用を統一するワインバーグ‐サラム(WS)理論により最終的に理解された。WS理論によると,ゲージ対称性が自発的に破れることでゲージ粒子(W,Zボソン)が質量を獲得する。これらの重いゲージ粒子が媒介する相互作用として,低エネルギーで4体フェルミ相互作用が現れる。(p.45「分析と統合供普遍的な特徴」)



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