index 2002index 8月号目次 8月号目次

今月のキーワード
量子効率/MEMS/タンパク質/ヘモグロビン/機能メカニズム


量子効率[quantum efficiency]
異なる量子間での変換効率。入力量子数に対する平均出力量子数として表す。たとえば,4個の電子・正孔対を固体に注入し,対の再結合によって平均して1個の光子が発生するときの量子効率は25%である。電子・正孔対のエネルギーは光子のエネルギーより必ず大きいので,量子遷移に際して余剰のエネルギーが散逸するため,注入電力に対する光エネルギーとして表されるエネルギー変換効率は常に量子効率を下回る。素子の外部に取り出される光子数で計算したものが外部量子効率である。(p.4「固体照明の時代がやってくる」)

MEMS[micro electro mechanical systems,微小電気機械システム]
半導体微細加工(マイクロマシニング)技術を基本に光・機械・電気・材料などを融合した技術で製作される,多様な要素を集積化した小形で高度な働きをするシステム。情報通信(通信用光スイッチ等),自動車・家電(ジャイロ等),産業機械(LSIプローバー等),医学・バイオ(カテーテル等),環境・防災(赤外線センサー等)など広い分野で,高付加価値の基幹部品として使われる。(p.20「マイクロマシンの大きな役目」)

タンパク質[protein]
生物の機能(生きる・活動する・増殖する)はタンパク質分子が担っている。生物個体は多様な膨大な数(ヒトでは数万種類の合計で約1023個)のタンパク質分子の機能集合体である。密度の高いタンパク質分子間の相互作用のネットワークが,この集合体に生きているという有機的協同性を実現している。1個のタンパク質分子が,複数の仕事(化学反応)を関連づけて調節できることが集積して,この相互作用ネットワークを構成している。
(p.64「タンパク質分子の機能を担うメカニズムに普遍性はあるか?」)


ヘモグロビン[hemoglobin]
ご存知,赤血球中にあって,O2を運搬しているタンパク質分子。軟骨魚類から哺乳類までの脊椎動物では,a2b2型の4量体。個々のサブユニットがFeの錯塩であるヘムをもつ。ヘムへのO2結合,ヘム以外の部位への水素イオン,有機燐酸,CO2結合を,分子全体の立体構造の変化とリンクさせて,これらの分子間の相互作用を媒介している。タンパク質分子が,複数の化学反応を同時の調節する典型的な事例である。したがって,そのメカニズムの理解は,生命を理解する重要なステップであると考えられてきた。(p.64「タンパク質分子の機能を担うメカニズムに普遍性はあるか?」)

機能メカニズム
タンパク質分子の機能・活性を担うメカニズムは,分子進化という偶然の積み重ねでつくられたもので,通常の機械とちがって,多数の自由度(原子間距離の変化)が関与しているらしい。タンパク質分子は,複数の部位にリガンドを結合して,立体構造の変化を媒介にして,結合部位間の化学反応調節能の相互作用を実現する。相互作用といっても,化学反応の定数を,2倍(kTln2はkTより小さい)も変化させれば,充分に“生理的に”意味がある。原子間距離の変化は,比較的大きなエネルギー変化を伴う。したがって,タンパク質分子は,大きなエネルギー変化の伴う自由度を多数動かして,熱運動くらいの小さなエネルギーの変化を操っていることになる。(p.64「タンパク質分子の機能を担うメカニズムに普遍性はあるか?」)