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今月のキーワード
リフトオフ法/形状磁気異方性/フォーメーション・ポンピング/分子動力学シミュレーション/破砕関数/ドレル‐ヤン過程/

リフトオフ法[lift-off method]
微細加工技術の1つ。電子線に対して感応性をもつレジストを基板に塗布し,それに電子線等で図形を描画する。電子線で描画した部分だけを現像液で溶かし去り,その上から金属等を成膜する。その後,レジストをアセトン等で除去すると,レジスト上の金属膜等はレジストとともに剥離するので,基板上には電子線で描画した部分にのみ金属膜が残る。電子線で直接描画するほか,マスクパターンを用いて転写する方法もある。また,光を用いて転写する方法をフォトリソグラフィという。(p.8「走るN極とS極の境目」)


形状磁気異方性[magnetic shape anisotropy]
磁性体に磁場をかけて磁気モーメントを1方向にそろえる際,その向きによってそろいやすさが異なる性質を磁気異方性という。その1つが磁性体の形状によって決まる形状磁気異方性である。磁気モーメントがそろうと,磁性体の表面に現れる磁極によって静磁エネルギーが生じる。この静磁エネルギーの小さい方向に磁気モーメントはそろいやすい。たとえば,針状の試料では針の長軸方向に磁気モーメントがそろいやすく,それと垂直方向にはそろいにくい。(p.8「走るN極とS極の境目」)

フォーメーション・ポンピング[formation pumping]
化学反応によって分子がつくられる際,生成した分子が内部励起状態になっていること。分子を励起させることをポンピングとよんでいる。分子が塵の上で生成する場合,化学反応によって発生するエネルギーの一部が塵に吸いとられ,残りは生成した分子の内部(振動・回転)エネルギーと並進エネルギーになる。化学的ポンピングともよぶ。そのほかに,宇宙空間で分子を励起させる機構として,星などの光による紫外線(光電)ポンピング,ショック波などによる衝突ポンピングがある。(p.24「塵の上でつくられる宇宙の水素分子」)

分子動力学シミュレーション[molecular dynamics(MD)simulation]
多体粒子群のつくるポテンシャル場内で運動する各粒子の運動の時間発展をニュートン運動方程式に従って解いていく計算機シミュレーション。多体系のニュートン運動方程式はそのままでは解けないが,数値積分することによって精度よく近似的に解くことができる。各粒子の時間ごとの位置と速度(ミクロなデータ)を求め,そこから系全体のマクロな性質や現象を導き出す。分子サイズのこのシミュレーションは,天文学で星や銀河について行われるN体シミュレーションと基本原理が同じである。星や銀河の場合は重力によるポテンシャル場になるのに対し,分子の場合は分子間力や化学結合力によるポテンシャル場になる。(p.24「塵の上でつくられる宇宙の水素分子」)

破砕関数[fragmentation function]
高エネルギーにおけるハドロン生成は,クォークやグルーオンが五月雨式に分岐・結合していくつかのハドロンになる,ハドロン化(hadronization)という過程の結果として理解されている。破砕関数はこのハドロンが親のクォークやグルーオンのエネルギーのうち,どれだけを担っているかを表現する変数zに対する確率分布である。(p.31「スピン偏極陽子コライダー」)

ドレル‐ヤン過程[Drell-Yan process] 
ハドロン衝突におけるレプトン対生成は,クォークと反クォークが仮想光子に対消滅しそれがレプトン対に崩壊して起こると考えられる。これを提唱者たちの名前をとってドレル‐ヤン過程とよぶ。広義のドレル‐ヤン過程には中間状態がウィークボソンである場合も含む。(p.31「スピン偏極陽子コライダー」)


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