色素増感型太陽電池(Gratzel型)の基礎と応用
監修:柳田 祥三(大阪大学大学院工学研究科)
【税込価格】55,650円
《税別価格53,000円》
【体裁】 B5 205頁
【版元】 技術教育出版社
【発行年月】 2001年03月
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【執筆者詳細・内容等】
企画 光機能材料研究会 執筆者一覧(執筆順) 坪村 宏 松村 道雄(大阪大学有機光工学研究センター) 宮坂 力(富士写真フイルム(株)足柄研究所) 松本 雅光(テラメックス(株)特機部) 村澤 貞夫((株)シグナスエンタープライズ) 垰田 博史(名古屋工業技術研究所) 北村 隆之(大阪大学大学院工学研究科) 柳田 祥三(大阪大学大学院工学研究科) 荒川 裕則(物質工学工業技術研究所) 吉田 司(岐阜大学大学院工学研究科) 箕浦 秀樹(岐阜大学大学院工学研究科) 伊藤 省吾(大阪大学大学院工学研究科) 昆野 昭則(静岡大学工学部) 早瀬 修二((株)東芝研究開発センター) 櫻井 正敏((株)東芝研究開発センター) 御子柴 智((株)東芝研究開発センター) 角野 裕康((株)東芝研究開発センター) 米澤 実((株)東芝研究開発センター) 内藤 勝之((株)東芝研究開発センター) はじめに 平成13年2月9日の朝日新聞朝刊に「太陽電池生産 日本2年連続世界一」との見出しの記事が掲載された。2000年における日本全体の太陽電池生産量は,前年比46%増の116,700kW(家庭用システム換算で2万9千件分)で,2位の米国(78,500kW)を大きく引き離しつつあり,企業別では99年のトップの座にあった米BPソーラーを抜いて1位シャープ(50,400kW),2位京セラ(42,000kW)との報道である。環意識の高まりや国の補助制度により,住宅用太陽電池の国内需要が伸びてきた背景がある。 一方,ヨーロッパでは10年前から,原子力発電の相次ぐ事故が契機になって,発電用エネルギー源を原子力エネルギーから順次,再生可能な自然エネルギーにシフトさせる運動が始まっている。ヨーロッパではまた,2030年には化石エネルギーの消費を現在の25%減とする計画があると聞く。言うまでもなく,大気中の二酸化炭素の増加を抑えるため,石炭・石油の使用抑制である。ドイツでは,具体的数値目標として,2030年には自然エネルギーの利用割合を全エネルギー量の12%にする目標を設定している。事実,ドイツではここ10年間に風力発電を600万kWにまで高めたと聞く。 発電用エネルギー源を,太陽光で代表される再生可能な自然エネルギーに変えるエネルギーシフトは,決して発電コストを下げることのみを目標とするものでない(ドイツにおける風力発電へのエネルギーシフトは電力料金を逆に上昇させている)。エネルギーシフトとは,省資源,省エネルギーヘの努力を伴い,後世により良い地球環境を残すための人知である。 平成12年10月,光電気化学研究懇談会・光機能材科研究会のお世話で,東京大学の先端科学技術研究センターにおいて「色素増感型太陽電池の歴史と将来展望」と題する講演会が開催され,250人を越す参加者が集い,講演会は成功裡に終了した。本書はそのような高まりの中で企画された。色素増感型太陽電池がエネルギーシフトの一環として産業化されることを願いつつ,本書がその実現に大きく寄与できればと思う次第である。 2001年2月 大阪大学 柳田祥三
【目次】
はじめに 第1章 色素増感光電池 1.色素増感(dye sensitization) 2.湿式光電池 3.色素増感光電池 4.色素増感光電流の機構 5.光ガルバニ電池(photo-galvanic ell) 6.色素増感光電池に関する私たちの研究 6−1.基本的問題について 6−2.色素増感光電流を増加させる試みについて 6−3.多孔性ZnO焼結体電極を用いた色素増感型太陽電池の作製 7.高効率色素増感太陽電池の開発のための指針 (1)観測された光起電力について (2)光電流の見かけの量子収率が22%であったことについて (3)色素の劣化について (4)色素増感光電流は電極の欠陥の影響を受けにくいことについて (5)半導体への色素の吸着特性 8.おわりに 第2章 色素増感と光合成の分子メカニズム 1.はじめに 2.光合成初期過程の電子移動 3.光合成のしくみから学ぶこと 4.半導体の色素増感の分子メカニズム 5.増感光電流の分極依存性 6.効率のさまざまな表しかた 7.エネルギー移動の制御 8.色素のエネルギーレベルにかかわる制御 9.増感色素の励起頻度のこと 10.おわりに 第3章 石原産業における色素増感酸化チタン太陽電池開発の経緯と成果 1.はじめに 2.酸化チタンカラーコピー 3.酸化チタン多孔質電極 4.電極の表面処理 5.電池特性 6.電池の内部抵抗 7.多重散乱の効果 8.酸化チタン膜内部における電子の拡散長 9.固体化の試み 10.あとがき 第4章 色素増感型太陽電池(Gratzel電池)の基礎 1.はじめに 2.太陽電池の現状と問題点 3.湿式太陽電池と色素増感の特徴 4.色素増感型太陽電池(Gratzel電池)の構造と特徴 4−1.半導体電極 4−2.電解液 4−3.対極 4−4.ルテニウム錯体 4−5.酸化チタン多孔質膜 4−6.Gratzel色素の特徴 5.色素増感型太陽電池(Gratzel電池)の性能 6.色素増感型太陽電池(Gratzel電池)のコスト 7.色素増感型太陽電池(Gratzel電池)の課題 8.おわりに 第5章 Gratzel電池の色素増感ダイナミクス 1.はじめに 2.変換効率を決定する因子 3.ルテニウムポリピリジン錯体から多孔質TiO2薄膜への超高速電子移動 3−1.フェルミの黄金律 3−2.酸化チタンヘの電子注入 3−3.注入電子の色素への逆電子移動 3−4.ヨウ素イオンから色素への電子注入速度の観測 3−5.注入電子の電解質への逆電子移動過程 4.無機半導体微結晶への色素吸着 5.メソスコピックTiO2薄膜の電子移動特性 5−1.TiO2の物性 5−2.電子移動のモデル 5−3.時間分解測定による解析 5−4.周波数応答による解析 6.おわりに 第6章 色素増感太陽電池の研究開発動向と技術課題 1.はじめに 2.グレッツェル・セルの作成と性能の再現性確認 (1)均一で多孔質なチタニア薄膜の調製 (2)光散乱中心の添加 (3)チタニア薄膜のTiCl4処理 (4)Ru色素固定チタニア薄膜の塩基処理 (5)色素増感太陽電池の性能 3.新しい色素増感太陽電池の開発動向 3−1.チタニア以外の酸化物半導体薄膜光電極を用いる色素増感太陽電池 3−2.新規な高性能金属錯体色素の開発 3−3.有機色素を用いた色素増感太陽電池の研究開発 4.グレッツェル・セルの耐久性,安定性について (1)セルの耐久性 (2)セルのスケールアップ (3)グレッツェル・セルの擬固体化と固体化 5.今後の技術課題 第7章 色素増感型太陽電池用光電極材料の新規作製手法 1.序論 1−1.半導体薄膜作製法と色素増感型太陽電池特性向上の歴史 1−2.コロイド塗布・焼成法の問題点と半導体薄膜新規作製法の必要性 1−3.色素増感型太陽電池光アノード材料作製の新規アプローチ―酸化亜鉛/色素ハイブリッド薄膜の電気化学的自己組織的形成 2.酸化亜鉛/色素ハイブリッド薄膜の電気化学的自己組織化 2−1.薄膜作製原理と手法 2−2.酸化亜鉛/色素3次元複合体構造の解明と自己組織化モデル 3.酸化亜鉛/色素ハイブリッド薄膜の光電気化学特性 4.結論―色素増感型太陽電池開発における電気化学的自己組織化法の将来展望 第8章 有機物質を使用した固体型色素増感太陽電池 1.はじめに 1.固体化の必要性 2.固体型色素増感太陽電池の分類 2.イオン伝導性固体型色素増感太陽電池 2−1.イオン伝導性ポリマーゲル 3.イオン伝導性低分子ゲル 4.電子伝導性有機物質を使用した固体型色素増感太陽電池 4−1.有機導電性高分子 5.有機低分子ホール輸送材 6.もう一つの太陽電池(有機p-n接合を用いた固体系太陽電池) 7.おわりに 第9章 p-型半導体を用いる色素増感型太陽電池の固体化 1.緒言 2.固体型色素増感太陽電池 2−1.湿式色素増感型太陽電池における電解質層の役割と問題点 (1)電解質層の役割 (2)電解質層の問題点 2−2.電解質層の固体化 (1)電解液をゲル状固体化する方法 (2)有機ホール輸送層を用いる方法 (3)p-型半導体を用いる方法 3.銅塩p-型半導体 3−1.p-型半導体電極を用いる湿式色素増感型太陽電池 3−2.銅塩p-型半導体を用いる固体型色素増感太陽電池 (1)概要としくみ (2)TiO2電極およびp-型半導体層の作成法 (3)電池の評価と性能 (4)特長および問題点と対策 4.今後の展望 第10章 擬固体色素増感太陽電池の開発と新用途開拓―東芝の取り組み― 1.はじめに 2.擬固体色素増感太陽電池の開発―ゲル電解質― 2−1.電解質を固体化する意味 2−2.擬固体化色素増感太陽電池の作製プロセスと,必要とされる電解液の特性 2−3.ゲル電解液前駆体を設計するための問題点 2−4.ゲル電解質の特性 2−5.太陽電池特性 2−6.結論 3.色素増感セルの多色多層パターン化による新規応用 3−1.色素増感セルの可能性 3−2.色素増感型セルの特徴 3−3.波長選択+透光性→カラーセンサ 3−4.波長選択+パターン化→看板/カラーフィルタ太陽電池 3−5.パターン化+逆光性→複数構造物位置決めセンサ 3−6.まとめ 第11章 Gratzel電池―世界の開発研究の動向と今後の展望 1.はじめに 2.INAPにおける開発研究 3.ECNにおける研究状況 4.STAにおける研究状況 5.Solaronixにおける研究状況 6.今後の展望
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