潜在被ばく potential exposure <原子力・放射線>

実際に起こるかどうかは確実ではないが,線源の事故,あるいは装置の故障や運転ミスなど,その発生が確率的な性質を有する一連の事象の結果として,生じる可能性のある被ばくをいう.
 放射線防護体系の適用にあたり,国際放射線防護委員会(ICRP)の1990 年勧告〔〕(Publication 60)では,個人の放射線被ばくに影響を与える機会について,大きく行為と介入の2つに分類している.このうち,行為によって生ずる可能性のある放射線被ばくは,通常被ばく〔〕と潜在被ばくの2つのカテゴリーに分けられている.
 これによれば,潜在被ばくの発生に関しては確率を付与することができる.一般に,潜在被ばくによる健康影響は,被ばくを受ける確率と被ばくにともなう影響の積で表される.この場合,被ばくにともなう影響は,想定される線量に対し,がんや遺伝的な影響の発生する確率を乗じたものとして示される.潜在被ばくの可能性が複数存在する場合には,放射線によるリスクは,個々の潜在被ばくによるリスクの総和として求められる.
[梅木 博之]



(出典:日本リスク研究学会 編『リスク学用語小辞典』,2008)

ここに掲載した用語解説は,2008年1月に丸善(株)から出版された,
日本リスク研究学会編『リスク学用語小辞典』より抜粋したものです。
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