線量限度 dose limit <原子力・放射線>

国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告において放射線防護体系の3原則の1つにあげられているもので,管理上限値に相当するもので,がんと遺伝的影響の両者について,発生する可能性を制限することが目的である.
 管理された放射線源(放射線発生装置や放射性物質など)からの被ばくの上限値であり,皮膚障害,脱毛,不妊といったしきい線量のある組織反応(確定的影響)を防止し,しきい線量がないと仮定されているがんと遺伝的影響(確率的影響)の発生確率を制限するために設定されている.がんと遺伝的影響のリスクを制限するための線量限度は,5年平均で20 mSv/年,1年間で50 mSvを上限とされている.
 ICRPは,致死がんの発生確率,非致死がんの発生確率,重篤な遺伝的影響の発生確率を総合的に考慮した結果として,労働期間である18~65歳までの間に,年平均20 mSvの被ばくを上回ることは,社会的には受け入れることができないと判断している.
[甲斐 倫明]



(出典:日本リスク研究学会 編『リスク学用語小辞典』,2008)

ここに掲載した用語解説は,2008年1月に丸善(株)から出版された,
日本リスク研究学会編『リスク学用語小辞典』より抜粋したものです。
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