丸善百年史

1980年(昭和55年)に発刊された丸善百年史をPDFにて公開いたします。明治2年に創業されて以来100余年の丸善の歩みを、ぜひご覧いただければ幸いです。

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丸善百年史 発刊の辞
 凡そ三百年におよぶ徳川幕政を崩潰に導く大業維新の余燼が、なお燻り続ける混沌たる世相のなか、明治二年(1869)一月「丸善」は、うぶごえをあげたのでございます。福沢諭吉門下の早矢仕有的を中心に同志相集い、かねて福沢が思い続けていた、日本を近代化しよう、とする熱烈な思想を現実のものとするため、西欧先進国の科学、技術、文化を導入すぺく、洋書輸入を主体事業として、当時としては他に全く類例のない一種の株式会社組織に倣い、横浜に丸屋商社を創立したのがそもそもの起源ですが、軈て二十二年(1889)明治憲法が制定され、二十六年(1893)に商法が公布されるに至って、会社第一号に登録された事実に思い及ぶとき、聊か感慨に堪えぬものがございます。
爾来本業を推進するかたわら、日本近代化を志向する国士的構想と行動を以て、外国為替業務や生命保険事業を企業の内外で試行錯誤を続けながら、遂に現存する為替専門銀行や生命保険会社を発起設立して、その基盤を築いた先人の偉業は絶讃して余りあるものがございます。
 斯くして大小、幾多の起伏を経てここに一世紀余の星霜を数えました。昭和二十六年九月、新社屋の第一期工事竣工を機に、創業以来八十年に亙る社史を発刊いたしましたが、次いで昭和四十四年(1969)百周年を迎えるに当り、これより先だつこと三年前の四十一年二月、先代社長司忠(第八代)によって百年史刊行の議が決せられました。
 編纂に当っては、近代日本が西洋文明を摂取同化する歴史的大運動の中で、それとともに歩んだ一企業の社史を越えて、日本文化の近代化の軌跡を辿る側面史を意図し、当社の常連顧客の一人であり同時に司社長の旧知でもあった木村毅氏に編纂並びに執筆の労をお願いしたのであります。同氏は人も知る明治文化研究の第一人者でございます。
 木村氏はよく私どもの意中をお汲み取り下さり、執筆分担を自ら植村清二、中西敬二郎、西田長壽の三氏に依嘱され、豊富な資料を渉猟し、上下二巻と資料編からなる彪大且つ精緻な百年史の完成を見ました。然し乍ら、未発見の資料を収集されるためには種為のご苦心と多くの時日を要し、刊行を待たずに昨秋木村氏が急逝されるという思わぬ不幸に接しましたことは、返す返すも残念でございます。
 今茲に、社業の営みを通してみた文化史として、聊か自負し得る大冊の完成をみたことは、木村氏はじめめ長期に亙ってご協力下さいました三氏のご尽力によるものと万腔の敬意と感謝の念を表する次第であります。
 「丸善百年史」の発刊に当り、私どもは先人が刻苦精励して築き上げた今日の繁栄と、全社員が等しく抱いて参りました事業の特殊性に伴う矜持を改めて謙虚に認識し、百年を一区切りとする本書が、更に将来百年の発展途上におけるよき道標たることを心から念願して発刊の辞と致します。

   昭和五十五年九月
      丸善株式会社 社長  飯泉新吾(当社九代社長/在任期間:昭和四十六年〜昭和五十七年)

丸善百年史 日本の近代化のあゆみと共に

標題・口絵
序     木村 毅

上巻
第一編     植村清二
第二編     木村 毅
上巻目次(オリジナル)

下巻
第三編     中西敬二郎
第四編     西田長壽
下巻目次(オリジナル)

あとがき
索引

資料編

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