無線通信の理論体系をまとめた第一級教科書 ゴールドスミスワイヤレス通信工学 基礎理論からMIMO,OFDM,アドホックネットワークまで Wireless Communications

2007年7月刊行
Andrea Goldsmith [著]
小林 岳彦(東京電機大学 工学部 教授) [監訳]
岩切 直彦・大坐畠 智・幸谷 智・高橋 賢・森 香津夫・山嵜 彰一郎 [訳]
発行:丸善株式会社
A5判・832頁/本体価格:12,000円/ISBN 978-4-621-07847-1

記念すべき,丸善とケンブリッジユニバーシティの共同出版第一弾.
複合技術であるワイヤレス通信の理論体系を,情報理論に立脚してまとめた第一級の教科書.
電波伝搬特性,チャネル容量計算やディジタル変復調技術から,ターボ符号やLDPC符号を含む符号化方式,チャネル等化,スペクトル拡散,多元接続,さらに最新技術であるMIMO,OFDM,アドホックネットワークまでを,相互の位置付けを明確に示しながら解説.
豊富な図表と精選された例題や演習問題を解きながら,システム設計の上で重要な数値例やトレードオフを学べる.
モバイル/パーソナル通信に携わるすべての技術者や学生の必読書.

主要目次
1章 ワイヤレス通信技術の概要
2章 伝搬損とシャドーイング
3章 統計的マルチパスチャネルモデル
4章 ワイヤレスチャネルの容量
5章 ディジタル変調と検出
6章 ワイヤレスチャネル上でのディジタル変調の性能
7章 ダイバーシチ
8章 ワイヤレスチャネルの符号化
9章 適応変調と符号化
10章 マルチアンテナと時空間通信
11章 等化
12章 マルチキャリヤ変調
13章 スペクトル拡散
14章 マルチユーザシステム
15章 セルラシステムと公衆型ワイヤレスネットワーク
16章 アドホックワイヤレスネットワーク
付録 A. 帯域通過信号とチャネルの表現
B. 確率論,ランダム変数,および確率過程
C. 行列の定義,演算,性質
D. 無線標準のあらまし

推薦の言葉
「無線通信技術の全体を体系的に、深く学びたいのであれば、本書は最適な著書であろう」
今井 秀樹(中央大学 理工学部 教授)
 本書の著者,アンドレア・ゴールドスミスとは,彼女が,数年前 IEEE情報理論ソサイエティの論文賞委員会の委員に選ばれたときからの知合いである.このとき,私は委員長を務めていたが,彼女の積極的でしかも常に理路整然とした発言に強い印象を受けた.本書にも,彼女のこの性格は見事に反映されている.様々な技術の融合体である無線通信技術がひとつの理論体系に纏め上げられているのである.
 現代において,インターネット技術を別とすれば,無線通信技術ほど社会に変革をもたらしている技術は他にない.携帯電話は現代人のライフスタイルを変えてきたし,また様々な無線端末が,ユビキタス社会を実現する要となり,今後社会をさらに大きく変えていくと予想できる.本書は,このような意味で現代社会の基盤となっている無線通信技術を信号処理,符号化,方式の観点から網羅的にしかも体系的に記述した著書である.実際,無線通信のデバイス以外の技術が最先端に至るまでほとんどすべて取り上げられていると言ってもよい.また,これまでの無線通信技術の著書の多くが個々の技術を独立したものとして扱う傾向があったのに対し,本書では,それらの間の相互の位置づけを明確に示し,無線通信技術の全体像を浮かび上がらせている.そして,その土台を情報理論がしっかりと支えている.
 本書は企画から出版まで,実に10年の歳月を掛けたと聞く.本書のカバーする範囲の広さ,構成の見事さ,例や演習問題の豊富さを見れば,これはなるほどと頷ける.無線通信技術の全体を体系的に,深く学びたいのであれば,本書は最適な著書であろう.ただ一点残念なのは,情報セキュリティに関する記述がほとんどないということである.無線通信のセキュリティは今後極めて重要な課題である.これは著者の専門分野とは著しく異なる面を含むので,現状では止むを得ないところであるが,将来の改訂版では,そこまで踏み込んだ構成とすることを期待したい.

丸善(株)出版事業部