刊行全二巻、計三冊。−時代を越えた文化の息吹。

 フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796-1866) 、博物学探検家とさえ称びたい彼が、その遺言によって一千枚におよぶ日本植物図譜をサンクト・ペテルブルグの帝室植物博物館に遺贈した。これらは、当時ロシア帝室科学アカデミー会員で、帝室植物博物館の主任研究員でもあったC.J.マキシモーヴィッチ(1827-1891) の努力で購入されたものであり、現在博物館の後身といえるロシア科学アカデミー図書館コマロフ植物研究所分館図書室で保管されている。この歴史については、新たに発見された資料を基に執筆された論文によって発表される。シーボルトの日記には、その第一回訪日(1823-1829) と第二回訪日(1859-1862) のものがあるが、日本植物に対する記述がたくさんあり、この間植物標本の収集と図譜を描かせたようである。これについても、論文のなかで詳論されよう。
この本は、シーボルトがJ.G.ツッカリーニの助力を得たとは言え、植物学探検家であったことを示そう。我々は、シーボルトと共に、日本植物研究を深める為にこれら図譜やツュンベリーの未公刊日本植物図譜などを収集してくれていたマキシモーヴィッチに、この本を献げたい。


第一巻 原寸で見る文化の息吹き

 第一巻は二分冊により成り、Ia巻には201枚の川原慶賀による未公刊図譜が収められる。Ib巻には、慶賀の図でシーボルト『日本植物誌』に使用されたもの62点、他の絵師や西欧画家によるもの67点、版下に利用されたもの11点が、すべて原寸で再現される。 ロシア科学アカデミー会員、A.タクタヂャン博士は、『まえがき』で次のように述べる。「これらは、多くのものが傑作と言えるものであると同時に、植物学上の図譜として最良の価値を有するといって過言ではない。ほとんどのものが自然にある植物から直接描かれ、非常な繊細さ、描線の正確さ、色彩の見事さ、これがその特徴として挙げられましょう。」




第二巻 総合資料としての貴重な礎

 第二巻は、論文5編とカタログより構成される。カタログは、全1041図譜(白黒縮小写真)に、学名、記録がそれぞれ収められる。各植物は、各科ごとに属名のアルファベット順に配列される。科の定義と配列は原則として被子植物はメルキオール(1964)、裸子植物はピルガーとメルキオール(1954)によっている。

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