あらゆる身の回りの「音」を、ユニークな切口で捉え直した本邦初のビジュアル事典 音の百科事典

音の百科事典編集委員会 編   発行:丸善株式会社
A5判・1,040頁 上製・函入 本体価格23,000円 
ISBN 4-621-07660-4

15に大分類し、50音配列で約300の中項目を掲載・解説する、
“楽しく読み通せる”音の百科事典
  

「音」には様々なものがあり、また、私たちは、日頃から様々な「音」に接しながら暮らしている。 本書は、あらゆる分野における「音」を、図版約500点を交え、やさしくビジュアルに解説する中項目事典(約300項目収載)。
社会・生活・歴史の中の音から、音楽、音楽療法、音響演出、音響学まで、ありとあらゆる分野・場面における「音」を平易に解説。
巻末には和文・欧文索引(各5,000語)を掲載し、専門用語を調べることにも役立つ構成。

音に関する現代的テーマも盛り込み、だれもが興味深く読み通せるユニークな百科事典。

 刊行にあたって より抜粋
 毎年、年の変わり目の0時に、各地の寺で除夜の鐘が撞かれます。この除夜の鐘の音から歴史、物理、宗教、音楽、芸術、文学など様々な分野にたどり着くことが可能です。本事典は、音を入り口とした様々な分野への道しるべであるということが出来るでしょう。
 私たちの生活は、朝の目覚まし時計から就寝の衣擦れとため息や寝息まで、どこにいても何をしても「音」を伴います。この世に生を受けて、母親の胎内で安全に心地よく過ごしているときにも、母親と共に様々な音を耳にしていたはずです。聴覚に障害が生じなければ、この「音」との付き合いは生命の終焉まで続くはずです。一方で地域によって音に対する意識はかなり異なります。ヨーロッパでは夜間の騒音に対する嫌悪感が非常に強いようで、隣家の音にも敏感に反応します。都市の入り口にはクラクションを禁じる道路標識があります。列車の発車ベルもなく、夕方の「夕焼け小焼け」が街中に流れることもありません。これらは、単に良い悪いという問題ではなく、音というものに対する認識の差であり、街や建築物、社会の成り立ちと構造、政治や経済などに関わっています。騒音問題は時として大きな社会問題にもなりますが、騒音の発生と処理の問題は工学的・物理学的問題であると同時に、地理的・社会的・経済的あるいは政治的な問題でもあることのほうが多いということができるでしょう。
 このような時代の中で、丸善の百科事典シリーズは極めて意味深いように思います。単に「引く」だけのものではなく、「知る」ことを「楽しむ」ための「事典」という考え方は、「知」を尊ぶ「痩せたソクラテス」への道をつくることにつながります。この考え方を受けて、一般の事典には見られないような記述方式が随所に出てきます。ある項目は、まるで随筆のような非説明的な内容であり、またある項目は思考プロセスの記述であったりもします。
 「音」に関する百科事典である本書が、「音」に関わる研究や仕事をしている方々や学生の方たちにとって、簡単な回答を準備する虎の巻ではなく、思考のマイルストーンとして機能することを心から願います。
 興味に引かれて次々と項目を読むという要素を大切にし、クロス・リファレンスの充実に心がけました。最終的に全部読みきってしまったというようなことでもあれば、私たちとしてはまことに欣快に堪えません。まさに、前述の「百科事典」というものの存在意義がここにあるといってもいいのではないでしょうか。
 本書は、この「音」に関わるあらゆる項目を網羅したいというところから始まっています。いままで、「音」についての「事典」は音響工学を中心とした分野のみで、その他の文科系的な分野が関与することはほとんどありませんでした。「音」という極めて身近でありながら多くの側面を持つテーマを、このような形でまとめることを試みた書籍を他に見つけることは出来ないと思います。その意味において、編集委員の一人として意欲的な取り組みをすることが出来たと自負しています。
2005年12月 
編集委員を代表して 田中宗隆

 編集委員一覧(五十音順)
岩宮 眞一郎 九州大学大学院芸術工学研究院音響部門
大里 俊晴 横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程
酒井 博之  京都大学高等教育研究開発推進センター
佐藤 公信 千葉大学工学部デザイン工学科工業意匠計画講座
清水 富弘 上越教育大学学校教育学部生活・健康系教育講座
城生 佰太郎 筑波大学大学院人文社会科学研究科文芸・言語系
田中 宗隆 音環境デザイナー/(株)サウンドプロセスデザイン
田中 優子 法政大学社会学部メディア社会学科
彦坂  裕 建築家・環境デザイナー/(株)スペースインキュベータ
渡辺  裕 東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専攻

 目次 (本書で解説される見出し項目例)
1 空間
うぐいす張り/サウンドスケープ・デザイン/オペラハウス/音のデザイン/教会・モスク/古代劇場/庭園
2 社会
20世紀の音/軍事/サウンド・エデュケーション/ラジオ体操/政治/体操・リズム/万国博覧会/文化騒音
3 暮らし
BGM/歌番組/音具/音姫/温泉/携帯電話/狂言回し/サイン音/バラエティ/祭/風鈴/ソノシート
4 感覚
香り・匂いと音/音楽の認知/カタストロフ/協和と不協和/しずけさ/絶対音感/騒音の基準値/聴覚の錯覚
5 歴史
労働/吟遊詩人/神社/相撲/鐘/布と衣/音楽考古学/大道の音/思考がつくる音
6 こころ
癒し/記憶/儀礼・宗教/恐怖/パラダイス
7 自然
水/石/エコロケーション/聴竹/風/森
8 科学
エフェクター/オーディオ/音響生態学/吸音/サラウンド/消音/整音/音の誕生/超音波/デジタル信号処理
9 メディア
アナウンス/スポーツ中継/放送/ライブ/レコーディング/録音技師/レコード/音楽放送/民謡
10 ことば
口頭伝承/アクセント/イントネーション/オノマトぺ/音響音声学/音声言語と文字言語/音節/バスガイド
11 音楽
映像と音/音階/ワールドミュージック/音楽配信/環境音楽/映画館/コンピュータ音楽/唱歌/ホーミー/ゴジラ
12 楽器
楽器の分類/金管楽器/弦楽器/鍵盤楽器/三味線/シンセサイザー/打楽器/電子楽器/琵琶/琴/木魚/木管楽器
13 からだ
音楽療法/身体の音/視覚障害スポーツ/心理療法/聴覚の仕組み/トランスと音楽/難聴/脳波/脳磁波/補聴器
14 芸術
アヴァンギャルド芸術運動/落語/源氏物語/枕草子/効果音/怪談/メディアアート/映画音響/俳句のなかの音
15 聞く
残したい日本の音風景100選/盗聴器/音日記/サウンドスケープ/ノイズ/聞くと聴く/音のトマソン
<付 録> 残したい音風景100選/音関係の学協会/単位


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