ながれの事典

刊行にあたって より抜粋
 自然界や日常生活において「ながれ」は,どこでもいつでも観察されるものです。動物,植物,あるいは私たちの体において,空気や水や血液のながれはなくてはならないものでしょう。さらに,乗り物,実験室,生産現場でも常にながれは見られるだけでなく,実際にそれらは必要なものです。日常よく使う,「流れるように」「流れ作業」「……が渦巻く」「……に波がある」「風聞」「流れを乱す」「飛ぶように」「雲行き」等々,ながれに関する言葉は,比喩的に頻繁に使われています。一方,科学的に定義された,「流れ」「渦」「波」「音」「乱流」「飛行」「大気の流れ」などの用語・概念があります。さらには,精密な実験・コンピュータなどで可視化されたそれら現象の大量のデータの集積もあります。これらを比較対照しながら,全体を眺めてみることは大変興味あることではないでしょうか。『ながれの事典』を刊行する主旨は,「ながれ」に関するさまざまな,基本的で重要な用語を集め,それらを日常や自然界で見られるものと関連づけて,定義し,図示し,また学問的内容を説明することにあります。このような類のない事典の刊行は,大変意義のあることと信じます。
 「日常の観察」や「自然現象との関連づけ」の記述は執筆者の主観が入りやすく,記述が偏っているところもあるかもしれません。この事典は専門的で隙のない説明をねらっているわけではありません。中学・高校・大学生から一般の読者にいたるまで,ながれに興味をもち,観察したり実験したり,科学的に興味をもちながらながれを理解しようとするときの,指針となることを目標としています。
 この事典は中項目事典の形式を採用し,各項目は原則として,1頁から6頁で解説されていて,その中に,索引に収められた小項目がいくつも説明されています。各項目のタイトル横には,内容を端的に表す図か写真が示されています。さらに,理解を助ける目的で図や写真が多く使われています。項目の選択に際しては,ながれに関係する様々な項目を広くとりあげるよう努力しました。
 採用した中項目は約250語で,14の大項目に分類されています。さらに本文の説明を補うために,附録が設けられています。
 以上からご想像いただけますように,この事典は参考書としてだけでなく,読み物としても十分楽しめるものを意図しています。編集委員や各項目担当者の方々にも,その主旨に沿うようご尽力いただきました。編集・執筆に携わったもの全員にとって,読者の皆さんに多様なながれの姿を,楽しみながら読んでいただけますなら幸いです。
編集委員長  神部 勉

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