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今月のキーワード

包括的核実験禁止条約機関 / 情報エントロピー / ランダウアー原理 / マイクロレオロジー / 電子対生成型超新星 / ニュートン近似

●包括的核実験禁止条約機関[Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization, CTBTO]
宇宙空間,大気圏内,水中,地下を含むあらゆる空間における核兵器の実験的爆発およびほかの核爆発を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)の遵守を検証するために設置される機関。国際監視制度,現地査察,信頼醸成措置などからなる検証制度を運用する。CTBTは,特定の44か国すべての批准が必要とされているが,現在も未署名・未批准の国が存在し,いまだ条約が発効していないので,CTBTO準備委員会がウィーンに設置されている。(p.22「核実験検証の新時代」)

●情報エントロピー[information entropy]
ビット列などの確率変数がもつ情報量は,シャノンエントロピー(シャノン情報量)によって特徴づけられる。これは「シャノンの第1定理」によって情報圧縮率の限界を与える。情報エントロピーは熱力学エントロピーと違い,熱平衡状態に限らないあらゆる確率変数に対して定義することができるが,カノニカル分布においては両者は一致する。近年,情報エントロピーが非平衡熱力学において重要な役割を果たすことが明らかになってきた。(p.39「機械じかけのデーモン」)

●ランダウアー原理[Landauer's principle]
コンピューターのメモリーから情報を消去するさいに必ず熱が発生するという原理。メモリーの情報エントロピーが減少するさいに,それが環境へと熱として放出されることを意味している。1960年代にIBMのランダウアー(R. Landauer)によって提唱された。ランダウアー原理はメモリーの構造が対称的な場合は正しいが,(実際のコンピューターではそうであるように)非対称な場合は必ずしも正しくないことが知られている。(p.39「機械じかけのデーモン」)

●マイクロレオロジー[micro rheology]
コロイド粒子などの微粒子のブラウン運動や,外力に対する応答を検出することによって,きわめて微小量の物質の粘性率や弾性率,あるいはそれらの周波数依存性(粘弾性)を検出する新しい実験的手法。熱ゆらぎを見る場合はパッシブマイクロレオロジー,外力を加える場合はアクティブマイクロレオロジーとよばれ,熱平衡状態で両者の結果は一致する。複数粒子の運動の相関をみる場合もある。近年では,さまざまなソフトマターや細胞における非平衡ゆらぎの測定に用いられている。(p.42「2成分流体におけるストークスの抵抗法則」)

●電子対生成型超新星[pair-creation supernova(pare-instability supernova)]
太陽質量の約130倍を超える巨大質量星は,進化の途上で内部が10億度以上という高温になり,高エネルギーの光子が電子・陽電子対を生成する。星を支えるための圧力を供給していた内部エネルギーがこれに使われるため星の中心部が崩壊し始める。そのさいに酸素の核反応が爆発的に進み,星全体が吹き飛ぶ。これが電子対生成型超新星とよばれ,巨大質量星が進化終末期まで質量を維持できる初代星はこの爆発を起こした可能性があると考えられている。質量が太陽質量の300倍を超えると,酸素の核反応が星の崩壊を止められず,直接ブラックホールを形成すると考えられている。(p.46「宇宙初代の巨大質量星を探る」)

●ニュートン近似[Newtonian approximation]
一般相対論は弱い重力のもと光速に比べて遅い速度をもつ非相対論的物体の運動においては,近似的にニュートン重力が再現される。この近似のことをニュートン近似とよぶ。摂動的にニュートン近似からの補正をつぎつぎととり入れていく手法は相対論的な天体現象を解析的にとり扱う上での有力な手法となっており,ポストニュートン近似とよばれる。(p.52「一般相対論,その世紀と現在」)

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