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今月のキーワード

地球の内核 / クリープ流れ / リプレッサー / 次元的尺度変換 / ビリアル定理

●地球の内核[Earth's inner core]
地球のコアは約2900 km以深の領域で,主要構成元素は鉄とニッケルである。コアは深さ5150 kmにおいて,液体の外核と固体の内核に分かれる。内核の半径は約1220 kmで,体積は全地球の0.7%ほどである。地球の冷却に伴い,液体の外核が固化することによって,中心部から年間約1 mmの速度で成長している。地球中心の温度は5000〜6000℃程度と見積もられている。(p.4「謎に満ちた地球の内核」)

●クリープ流れ[creeping flow]
流体のレイノルズ数が小さい場合に起こる流れをさす。レイノルズ数は慣性力と粘性力の比で定義され,流体速度が遅い,流れのスケールが小さい,粘性が大きい場合に小さくなる。クリープ流れにおいては,粘性抵抗に対して慣性の影響を無視できる。地球内部では,固体岩石からなるマントルも地質学的時間スケールにおいては流体としてふるまい対流しているが,マントル対流のレイノルズ数はきわめて小さい。(p.4「謎に満ちた地球の内核」)

●リプレッサー[repressor]
ゲノムDNA上の特定の領域に結合して1つまたは複数の遺伝子の発現を抑制する制御タンパク質のことをさす。通常,リプレッサーはDNA上の転写開始点の近傍に結合し,同領域へのRNAポリメラーゼの結合を阻害することによって下流の遺伝子の転写を抑制する。一方で結合によって遺伝子の発現を促進する制御タンパク質もあり,そちらはアクティベーターとよばれる。(p.12「細菌の意思決定」)

●次元的尺度変換[dimensional scaling]
現実の空間は3次元であるが,それをN次元として,(1)たとえば原子に対するシュレーディンガー方程式ANを書き,(2)そこで動径をrNαrとする尺度変換を行うこと。得られた方程式BNN→∞で解きやすい場合,BNBの差を1/Nをパラメーターとする摂動論で扱ってBNの解を求め,ANの解に引きもどしてN=3とおきA3の解とする。(1)と(2)の間に変数変換を挟む場合もある。(p.22「ボーアの分子模型:1世紀を経て」)

●ビリアル定理[virial theorem]
物質中の電子のように限られた領域に閉じ込められた多粒子系において,粒子系の全運動エネルギーの時間平均は,粒子に働く力と粒子の位置座標の積を全粒子について足し合わせたのち時間平均したものに等しい。これがビリアル定理である。電子系の場合,電子間距離の−1乗に比例するクーロンポテンシャルが電子間に働くので,全運動エネルギーと全エネルギー(運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和)を加えたものは0になる。(p.42「ナノ領域に閉じ込められた水の異常な量子状態」)

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