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今月のキーワード

子午面循環流 / アーススコープ / 可搬式アレイ / サンアンドレアス断層 / マシュマロゲル / スピノーダル分解 / 寄生強磁性

●子午面循環流[meridional circulation]
太陽や星が自転しているとき,子午面(自転軸を含む平面,経度一定の面)内に速度をもつ流れも生ずると考えられ,また太陽では実際に観測されてもいる。定常状態を仮定すると,この流れは循環しているはず(異なる緯度間の物質輸送は差し引きゼロ)なので,子午面循環流とよばれる。とくに太陽では,磁束を輸送することで,ダイナモ機構に重要な役割を果たしていると考えられている。「子午面還流」「子午面環流」と表記されることもある。(p.30「日震学による子午面循環流測定」)

●アーススコープ[EarthScope]
地球表面から内部をのぞくための“地球望遠鏡”として計画された,米国の大規模な地球観測プロジェクトである。全米科学財団(NSF)による予算で実施され,おもに北米大陸の地下構造や進化,地殻変動,地震発生過程などの解明を目的としている。USArray,PBO,SAFODという3つの独立な観測計画を包括し,観測データは即時に一般公開されている。また,この計画で得られた最新成果などは,ホームページ(http://www.earthscope.org)にて随時公開している。(p.46「北米大陸の内部をのぞく:アーススコープ計画の10年」)

●可搬式アレイ[transportable array]
多数の地震計を規則的に配置した観測網をアレイとよび,1台の地震計の記録だけではノイズに隠れてしまうような小さなシグナルの検出など,高精度な観測が可能となる。ある地域で一定期間(たとえば,半年〜2年程度),集中的に観測を行った後,隣接する別の地域に移動させていくことにより,限られた数の地震計で,広範な領域をカバーできる。大陸スケールでの可搬式アレイとしては,米国のUSArrayのほか,90年代に豪州で実施されたSKIPPY計画が知られている。(p.46「北米大陸の内部をのぞく:アーススコープ計画の10年」)

●サンアンドレアス断層[San Andreas Fault]
北米大陸太平洋岸のカリフォルニア州南部から北西部まで約1300kmを縦断する大断層である。北米プレートと太平洋プレートが接するプレート境界(トランスフォーム断層)となっており,2つのプレートがたがいに右向きにずれ,分岐・並走する多数の断層が周囲に発達している。周辺には,サンフランシスコやロサンゼルスなど人口密集地もあり,1906年に大被害をもたらしたサンフランシスコ地震など,米国のなかでもとくに地震災害の多い地域である。(p.46「北米大陸の内部をのぞく:アーススコープ計画の10年」)

●マシュマロゲル[marshmallow-like gel]
2官能性・3官能性もしくは架橋性ケイ素アルコキシドを複数組み合わせた前駆体(モノマー)を用い,ゾル-ゲル法により合成される塊状シリコーン多孔体。細孔・骨格径は数〜数十μmであり,外観は白色不透明。架橋構造はSi―O結合にもとづくが,柔軟な球状構造単位が3次元的数珠状に連なった骨格からなり,曲げ・圧縮に対してマシュマロのような柔軟性をもつ。広い温度範囲で化学的に安定かつ柔軟性を失わない。(p.50「超はっ水・超はつ油性マシュマロゲル」)

●スピノーダル分解[spinodal decomposition]
相溶した多成分系の温度や重合度を変化させると,組成の異なる複数の相領域への分離が起こる(相分離)。離散的・微小な相領域(核)が成長する核生成・成長に対し,スピノーダル分解では系全体にわたる周期関数的濃度ゆらぎが拡大し,連続した相領域が入り組んだ構造(共連続構造)を生じる場合がある。共連続構造は不可逆に粗大化・断片化するため,任意の時点で構造を凍結(ゲル化)すると,所望の特性長をもつ多相構造が得られる。(p.50「超はっ水・超はつ油性マシュマロゲル」)

●寄生強磁性[weak ferromagnetism]
スピンの向きが交互に反対方向にならぶ磁気秩序を反強磁性とよぶ。通常反強磁性では磁化は相殺して現れないが,スピンの向きが少し傾くことで弱い一様磁化成分が現れることがあり,これを寄生強磁性とよぶ。弱強磁性ともいう。具体的には,スピンの外積に比例するエネルギーをもつジャロシンスキー-守谷相互作用とよばれるスピン軌道相互作用やスピン間相互作用のフラストレーションがその微視的なメカニズムとなる。(p.53「ジャロシンスキー-守谷相互作用」)

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