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今月のキーワード

太陽ダイナモ / 暗黒物質 / ヒッグス機構 / 特異速度ベクトル場 / ICP質量分析装置

●太陽ダイナモ[solar dynamo]
太陽内部において磁場が増幅・形成されるメカニズム。太陽の内部の対流層では,中心から運ばれてきたエネルギーを受けとって加熱されたプラズマが浮上する一方,表面でエネルギーを失い冷えたプラズマが沈む熱対流が生じている。また,緯度・深さごとに自転する速度が異なる差動回転も生じている。これらのプラズマの運動に引きずられることで個々の磁場が増幅され,その重ね合わせとして太陽全体の磁場が変動しながら形づくられる。(p.4「彗星:自然の太陽探査機」)

●暗黒物質[dark matter]
渦巻き銀河の回転速度は,外縁部では中心からの距離にほとんど依存しないことが観測で明らかになり,外縁部には重力を生み出すものの光では見えない物質,暗黒物質が大量に存在していると推測されていた。その後宇宙マイクロ波背景輻射の温度ゆらぎの測定により,暗黒物質は宇宙全体の約24%,暗黒エネルギーは約74%であることが明らかになっている。(p.12「ヒッグス粒子の将来」)

●ヒッグス機構[Higgs mechanism]
ゲージ場とスカラー場が結合している系において,スカラー場が真空期待値を得てゲージ対称性が自発的に破れると南部-ゴールドストーンボソンが現れるが,この粒子はゲージ場の縦波成分に吸収され,ゲージ場は質量をもったベクトル粒子を記述する。このような質量をもったベクトル粒子を生み出す機構はヒッグス機構とよばれ,電磁相互作用と弱い相互作用を統一する理論を構築するうえで重要な役割を果たした。(p.12「ヒッグス粒子の将来」)

●特異速度ベクトル場[peculiar velocity field]
一様宇宙に静止した観測者から見ると,各銀河は,宇宙膨張によって観測者からの距離に比例した速度で遠ざかっていくはずである。しかし実際に多くの銀河の速度を観測すると,平均としてはそのようなハッブルの法則が成り立っているものの,各銀河の速度は宇宙膨張による後退速度以外の成分ももっている。これを空間の各点で表したのが特異速度ベクトル場である。特異速度があるのは,宇宙は完全には一様・等方ではなく,各銀河は,重力ポテンシャルのゆらぎと同程度の運動エネルギーをもって,宇宙空間を運動しているからである。(p.32「宇宙マイクロ波背景放射のBモード偏光の発見」)

●ICP質量分析装置[ICP-mass spectrometry]
ICP質量分析装置とは,誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma, ICP)によりイオン化された試料中の元素を質量分析部で検出し,ある元素の同定・定量を超高感度(pptオーダー)で決定できる装置のことである。質量分析であるために,同位体比の測定も可能である。(p.51「日本にあった巨大隕石衝突の記録」)

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