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今月のキーワード

フェルミ加速 / O型星,B型星 / ビリアル速度 / 金属ガラスの構造若返り

●フェルミ加速[Fermi acceleration]
異なる速度をもった磁気を帯びた流体(星間磁気雲や超新星残骸の衝撃波など)の間を,荷電粒子が磁場で散乱されながら往復することでエネルギーを獲得し,加速されるメカニズムの総称。正面衝突では加速され,追突では減速されるが,多くの環境では統計的には前者が勝るため,全体としては加速される。この統計的な加速は,衝突ごとに得るエネルギーが運動速度の2乗に比例するため「2次フェルミ加速」とよばれている。宇宙線のエネルギースペクトルをよく説明している。(p.4「フェルミガンマ線宇宙望遠鏡で探る極限宇宙」)

●O型星,B型星[O star, B star]
スペクトル型がO, B型の恒星のことで表面温度の高い恒星をO型星,B型星とよぶ。恒星は表面温度が高いほど質量が大きいので,大質量星といってもよい。恒星のスペクトル型はハーバード大のエドワード・ピッカリング(Edward Charles Pickering)らによって,観測される光スペクトルの特徴からA,B,C……のようにアルファベットで分類されたが,その後の研究により,スペクトル型が恒星の表面温度によって決まっていることがわかり,温度が高い順に並べたOBAFGKMを恒星のスペクトル分類として採用することになった。このスペクトル分類には有名な暗記法がある。“Oh, Be A Fine Girl! Kiss Me!”(p.14「天の川における星団の誕生と死」)

●ビリアル速度[virial velocity]
ビリアル平衡にある天体で実現される典型的速度のこと。天体物理では,重力で束縛された天体が定常状態にある場合に実現される状態のことをビリアル平衡とよぶ。ビリアル平衡にある天体では,単純な球対称モデルを考えると,内部運動のエネルギー(KMV2/2)が重力エネルギー(W=−ηGM2/R)の2倍に等しくなる。ここでMVRGηはそれぞれ天体の質量,内部運動の典型的速度,半径,重力定数,天体内の密度分布によって決まる定数である。したがって,天体の質量や半径がわかると,2K=−Wの関係によって,ビリアル速度は
数式
となる。(p.14「天の川における星団の誕生と死」)

●金属ガラスの構造若返り[structural rejuvenation in metallic glass]
金属ガラスは溶融状態の金属を急冷することで得られるが,非平衡性の高い,不安定な状態にあるので,ガラス転移温度以下の温度で時効すると原子配列はより安定な状態に向かってしだいに変化する。これを構造緩和とよぶ。それに対してその逆の方向,たとえばより高温の状態に向かって変化することを構造若返りとよぶ。(p.39「“構造若返り”による金属ガラスの異常軟化現象」)

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