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| 電気2 重層/ 熱レンズ顕微鏡/ N末端,C末端/ 蛍光色素(Cy3, Cy5 ) / タンパク質のホールディング(アンフィンゼンのドグマ) / レイノルズ数/ ラプラス圧/ 高分子の応力緩和/ 強誘電性/ フォトニックバンドギャップ/ フェイズドアレイ
●電気2重層[electric double layer] 電解質溶液と接する固体または液体の界面は,特別の場合を除き電荷を帯びている。たとえば,シラノール基を有するガラス基板表面が負電荷に帯電している場合,電解質溶液中のカチオン( 陽イオン)は,電荷を中性にするように表面に集まってくる。この集まった電荷層を電気2重層,その距離をデバイ長とよぶ。このデバイ長はイオン強度に依存して変動する。(p.4「微小反応場のおもしろさ」) ●熱レンズ顕微鏡[thermal lens microscope] 熱レンズ顕微鏡(TLM)は,光熱変換現象を利用して,微小空間内の非蛍光性分子を高感度に計測する装置である。励起光とプローブ光を同軸にし,対物レンズにより微小流路内に集光照射すると,検出領域にある溶液内の分子は励起光を吸収し熱を放出する。このとき,熱による温度上昇は屈折率を変化させ,屈折率分布を形成し,過渡的な光学レンズ,すなわち熱レンズとして作用する。この熱レンズの誘起に伴うプローブ光の光量変化を計測する。光量変化は発熱する分子の数に比例するので定量分析が可能である。(p.4「微小反応場のおもしろさ」) ●N末端,C末端[N-terminus, C-terminus] アミノ酸はカルボキシル基とアミノ基をもっており,これらがペプチド結合により連結したものがポリペプチドである。タンパク質はポリペプチドやポリペプチドの複合体である。生体において,タンパク質はmRNAの塩基配列に対応するアミノ酸が順次リボソームにおいてつながれて合成される。タンパク質やポリペプチドのうちアミノ基で終端している側をN末端,カルボキシル基で終端している側をC末端という。リボソームにおいては,N末端からC末端に向かってタンパク質が合成される。(p.19「1 分子イメージング法によるタンパク質の機能と相互作用の解析」) ●蛍光色素(Cy3,Cy5)[fluorescent dye(Cy3,Cy5)] 蛍光とは,物質が光を吸収することにより電子が励起され,基底状態に戻るさいに励起した光より長い波長の光を発する現象である。特に,発光過程の始めと終りでスピン多重度が同じものを“蛍光”といい,スピン多重度が異なる“ 燐光”と区別する。蛍光を発する色素(蛍光色素)には,無機化合物と有機化合物がある。代表的な蛍光色素であるCy3, Cy5 はシアニン系の有機色素である。(p.19「1 分子イメージング法によるタンパク質の機能と相互作用の解析」) ●タンパク質のホールディング(アンフィンゼンのドグマ)[protein folding(Anfinsen's dogma)] アンフィンゼンは,RNaseAを尿素で変性させると,構造が壊れて失活するが,透析により尿素を除去すると,構造が再生し,酵素活性が回復することを発見した。この実験からタンパク質の1 次構造(アミノ酸配列)が決まれば,タンパク質の3 次構造(立体構造)は決まるという考えが提唱され“アンフィンゼンのドグマ”とよばれている。しかし,正しい構造をとるためには分子シャペロンとよばれるタンパク質の助けを必要とする場合もあることが知られている。(p.19「1 分子イメージング法によるタンパク質の機能と相互作用の解析」) ●レイノルズ数[Reynolds number] 流体の運動における慣性項の大きさと粘性項の大きさの比較を,その比で表す無次元量。小さいと層流,大きくなると乱流が生じる。“レイノルズ数の分母は動粘性係数”と憶えれば,これは運動量の拡散係数であるためその次元は(距離)2/(時間)となるので,分子の(特徴的大きさ×速さ)を思い出しやすい。(p.24「ピコリットル液滴の物理学」) ●ラプラス圧[Laplace pressure] 表面張力とは,表面をできるだけピンと張ろうとする引張り力であり,これによってエネルギーの大きい表面の面積をできるだけ小さくしようとする。水滴などでこの表面が曲がっている場合には,表面張力の接線方向成分を支えるべく表面の内側と外側で圧力差が生じる。これをラプラス圧とよび,(ラプラス圧)=(表面張力)×(面の平均曲率)/2 で与えられる。ゴムの風船を膨らませるとき,最初は息を吹き込むのはたいへんだけど,でも膨らむにつれてだんだんとラクになるでしょう?(p.24「ピコリットル液滴の物理学」) ●高分子の応力緩和[elastic relaxation of polymer] 溶液の中では分子鎖の長い高分子はお互いに絡まりあっている。この媒質にずり変形を加えると,絡み合った高分子が接する点で力を及ぼしあうことにより,溶液はさながら架橋したゴムのように弾性的にふるまう。ところが時間の経過とともに高分子はブラウン運動によりその形を変え,互いに接して力を及ぼしあう部分が解放されてしまう。応力緩和とは,このようにある時定数より速い変形に対しては弾性的に,また遅い変形に対しては液体のように粘性的にそのふるまいを変える現象である。(p.24「ピコリットル液滴の物理学」 ●強誘電性[ferroelectricity] プラス電荷とマイナス電荷の偏りを電気分極とよぶ。たとえば,水分子も,酸素と水素の電気陰性度の違いから,分子自身が電気分極をもっている。結晶構造において,となりあう異種の原子間でこの電気分極が生じる場合もある。材料中で,そうした局所的な分極がデタラメな方向を向いていれば,全体としての分極はゼロである。材料によっては,局所的な分極が協同して向きをそろえ,全体として電気分極をもつ材料がある。そうした自発的な電気分極を自発分極とよぶ。自発分極があり,しかも,その自発分極が電界で反転可能な性質を強誘電性とよぶ。(p.38「無限に広がる液晶の世界」) ●フォトニックバンドギャップ[photonic bandgap] シュレディンガー方程式に従う電子には,周期的な結晶場のポテンシャルの中で,とることのできないエネルギーの帯域,すなわち,エネルギーバンドギャップが存在する。この事実の上に,今日のエレクトロニクス工学の礎は築かれている。マクスウェルの方程式に従う電磁波の場合も,電子と類似の扱いのもと,誘電率の周期的な空間分布の中で,波長において禁止される帯域,すなわち,禁止帯が現れる。この禁止帯の波長が光の波長程度のものが,フォトニックバンドギャップとよばれ,光を制御する上での新しいテクノロジーの基盤になるとして,盛んに研究が行われている。(p.38「無限に広がる液晶の世界」) ●フェイズドアレイ[phased array] 電磁波は,電場と磁場が振動する波として空間を伝わっていく。電磁波を発生させる一つの方法は,プラス電荷とマイナス電荷の空間分布を時間的に変化させてやることである。電磁波は振幅と位相の関係により直線的に振動して進行するものから,円を描きながら進行するものなど,さまざまな様式のものが存在する。フェイズドアレイとは,電荷の時空変化の制御を効率的に行い,意図する電磁波を発生させる,一種のアンテナである。(p.38「無限に広がる液晶の世界」) |