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今月のキーワード
歳差運動 / タイトバインディング模型
●歳差運動[precession]
回転する物体がその回転軸の方向をゆっくりと変えていく運動を,一般に,歳差運動という。たとえば,軸を鉛直方向から傾けてコマを高速で回すと,コマの軸は鉛直方向に対して一定の傾きを保ちながら向きを変え,軸の上端はゆっくりと円運動をする。これをコマの歳差運動という。高速で回転している物体は力の方向に倒れないで,力に対して垂直な向きに回転軸が移動する。地球も,周期が約26000年と非常にゆっくりではあるが,歳差運動をしていることが知られている。その結果,いずれ,地軸は北極星を指さなくなる。(p.38「なぜ自転車は倒れないか?)

●タイトバインディング模型[tight-binding model]
孤立原子の価電子が占める少数の原子軌道(波動関数)の重ね合わせによって,固体の電子状態を記述する模型。固体中の電子も基本的には原子に強く束縛されており,となり合った原子軌道の間で量子力学的な飛び移りがわずかに起こることで,固体全体に広がった電子状態が実現されるという考え方に基づいており,原子核のポテンシャルを無視する自由電子模型と対極をなす。シリコンや炭素(ダイヤモンド,グラファイト)のような,共有結合性結晶の電子状態を記述するうえで特に便利な模型である。(p.54「計算物理 第12回(物性編) さらに信頼できる計算をめざして」)