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今月のキーワード
注入層と発光層 / ミニバンド /(地震の)マグニチュード / 静的応力による誘発/動的誘発作用 / ダングリングボンド / CDMモデル
●注入層と発光層[injection layers and active layers]
量子カスケードレーザーの活性領域は,光を放出する発光層が複数つながった構造から構成されている。注入されたキャリアがスムーズに発光層間を移動できるように,発光層と発光層の間を橋渡ししているのが注入層である。注入層は超格子構造からなり,素子に電圧を印加することによって,キャリアは注入層内の超格子のミニバンドを通って発光層に入り,そこで発光した後で再び発光層から次の注入層のミニバンドへ出てゆくことが可能となる。(p.4「量子カスケードレーザー」)


●ミニバンド[miniband]
複数の量子井戸を近づけてゆくと,隣接した量子井戸内の波動関数が相互作用し量子準位間に結合が生じる。その結果,縮退していた量子準位が分裂し,結合した量子井戸の数が十分に多ければ分裂した量子準位はほぼ連続となり,ミニバンドとよばれるエネルギー帯が形成される。(p.4「量子カスケードレーザー」)


●(地震の)マグニチュード[(seismic) magnitude]
地震の規模を示す指標。さまざまな定義があり,その多くは震央距離と最大振幅から計算される。気象庁マグニチュードもその一つ。このような定義のマグニチュードは大きな地震に対して頭打ちになり,必ずしも地震規模を正確に反映しないという問題がある。これに対し,断層面積と滑り量から計算されるモーメントマグニチュードは地震波エネルギーと良い相関をもつ。観測史上最大のチリ地震のモーメントマグニチュードは9.5である。(p.24「地震と火山噴火の相互作用」)

●静的応力による誘発[static stress triggering]
宝永地震から50日後に始まった富士山の宝永噴火のように,地震発生後震源から数100kmの距離内にある火山が数ヶ月から数年の時間遅れで噴火する場合がある。この現象の説明の一つとして,地震による火山周辺の静的応力場の変化が挙げられている。応力場の変化に応じマグマ溜りの圧力も変わる。圧力増加はマグマを搾り出す効果があり,逆に圧力減少は,マグマ内の気泡発生を促進し浮力を得たマグマが上昇するきっかけをつくる。(p.24「地震と火山噴火の相互作用」)


●動的誘発作用[dynamic triggering]
1992年南カリフォルニアで発生したランダース地震の直後に,北米西部各地で地震活動が活発化した。その地域の多くは火山や地熱地帯であり,線形弾性論では説明できない大きな地殻変動も起きた。この現象に対しては流体が関与する非線形的な物理機構が提案されている。地震動で揺さぶられたマグマ溜り内を上昇する気泡による圧力増加や,振動する気泡自身の圧力増加,マグマ溜りの力学的支えが破砕されて生じる増圧などである。(p.24「地震と火山噴火の相互作用」)


●ダングリングボンド[dangling bond]
半導体などの表面において,物質内部では隣接する原子と結合状態にあった軌道が,表面では結合する原子がなく非結合状態になっている軌道のこと。エネルギー的に不安定な状態であるため反応性が高く,吸着ガスや蒸着された原子・分子と結合を形成しやすい。またダングリングボンド密度を減らすことが駆動力となって,表面では原子再配列が起こり,長周期構造が形成される。Si(111)表面の(7×7)構造やSiC(001)表面の(3×2)構造はそうした長周期構造の例である。(p.39「水素吸着で金属的な電子状態ができる!?」)


●CDM モデル(冷たい暗黒物質モデル)[cold dark matter model]
銀河の回転運動や銀河団中の銀河の運動から,宇宙には光を出さない暗黒物質が存在すること,元素合成理論から,暗黒物質の主成分が暗い天体でなく,普通の物質と重力以外では弱くしか相互作用しない非バリオン的な物質であることが知られている。その中でも,ニュートリノのような軽い(熱い)粒子でなく,重い(冷たい)粒子(アクシオンやニュートラリーノなど)があると,インフレーション理論で生まれたゆらぎが成長して現在の宇宙の階層構造をうまく説明できることが知られている。これをCDMモデル,または宇宙項もいれてΛCDMモデルという。(p.57「暗黒エネルギーと宇宙加速膨張」)



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