情報教育事典

情報教育事典編集委員会 編
発行:丸善株式会社
B5判・832頁 本体価格28,000円 
ISBN978-4-621-07929-4
情報教育に関わる事柄を広く網羅し、事項の定義・概念・現状および課題などを解説する総合的な事典。国の情報戦略、企業・教育機関等における情報教育の展開、科学技術、設備環境、社会・経済、法律・倫理、e-learning、資格、さらに教育現場に視点をおいた「指導・評価」の観点と、情報教育に関わる領域全体を網羅。

編集幹事
代表:岡本敏雄 電気通信大学大学院情報システム学研究科

磯本征雄 岐阜聖徳学園大学経済情報学部
梅本吉彦 専修大学法学部
香山瑞恵 信州大学工学部
小舘香椎子 日本女子大学理学部
近藤 勲 岡山大学名誉教授
菅井勝雄 帝京平成大学
西之園晴夫 佛教大学教育学部
福原美三 慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究機構
本田敏明 茨城大学教育学部附属教育実践総合センター
松田稔樹 東京工業大学大学院社会理工学研究科

編集にあたって
 多分、科学技術教育が大切だと世界が認識し始めたのは、ソビエトのスプートニクが打ち上げられたことがきっかけはないだろうか。当時、アメリカは科学技術分野において完全にソビエトとの間で差がついていたと指摘された。その差をどう埋めたらよいかと、結局、教育に力を注ぎ始めたわけである。アメリカは日本の真似をしようと、追いつき追い越せでやってきた。実は、日本も戦後の復興は科学技術立国しかないと、科学技術教育に力を入れてきたので、その当時、日本の大学の理工系の定員も倍増した。それで日本も高度成長ができ、成果を出すことができたわけである。そこまでは良かったのであるが、そこで弛んでしまったように思える。日本がきわめて早いスピードで成長している時期に、次の教育コンセプト、確かな人材育成の目標を持つべきであったと感じる。その頃に情報が大切だという認識を持てばよかったのであるが、それができずに世界の体制からみて、やや出遅れた感じがする。2010年以降の社会を再度、見つめなおす必要がある。
“情報教育”という言葉の不透明性
 そもそも情報教育という言葉自体がきわめて曖昧であると認識しつつ、一般的には、
・ 児童・生徒のICT(情報通信技術)の利活用力
・ 学校の情報化、インフラ投資・整備
・ 教師の指導手段としてのICT
が、共通するとらえられ方である。できるだけ多くの教師がかかわりを持つべしという考え方で、国の方も、そういった戦略で動いてきた。そのこと自体、そして“全体として教育を良くして行こう”という発想と精神は悪くはない。しかしながら、そこに落とし穴もあったわけである。
 “情報”という新たな教育対象をどのようなものとしてとらえるかは、立場によって多少異なるとは思うが、情報の科学・技術、そして情報の社会的文化に関連する人材育成を図り、新たな教育を従来の科学・技術立国としての基盤を活用しながら、創造していくことが重要であろう。(中略)
情報教育の基本的な考え方
 教育の基本的考え方として、特にカリキュラム論からみたとき、ラテン語の“Tabra Rasa”、つまり人間がこの世に真っ白な状態で誕生し、知恵をつけていく過程において、何を教えるべきかという議論がある。基本的には形式陶冶と実質陶冶論がある。俗にいう読み、書き、そろばん(3Rs)論は両者を旨く反映した教科論である。中世、近代ヨーロッパ社会においては、エリート層はラテン語、ギリシャ語、論理学を中心に学んだという。これは、形式陶冶論に依拠した考え方である。一方、実学を重視した実質陶冶論の立場では、元来、工学、医学はその最たるものであろう。その精神の持ち主はレオナルド・ダ・ビンチである。(中略)
 今回『情報教育事典』を丸善から刊行することができた。わが国最初の体系的なものである。本書では情報教育を広くとらえ、関連する様々な事項を網羅した。学校教育に関連する事項のみならず、政策的、社会・経済的、教育的、技術的、法学的、設備・環境的等の広い立場で事項を精選し、取り上げた。本書の意義は、情報教育にかかわる事柄(一部情報の専門教育含む)を広く網羅し、事項の定義・概念・現状および課題などを、必要に応じて事例や海外との比較を織り交ぜて解説した、総合的な事典を目指したことにあろう。
 情報教育にかかわる大学教員、理工系学部専門で情報教育に関心の深い教員、初等中等
教育での情報教育関係者および教員を目指す学生、ソフトウェアなど教育教材作成やシステム開発にかかわる企業人、その他、情報教育に関係する方々等、多くの方が利用されることを願っています。
2007年12月
編集委員会代表 岡本敏雄

主 要 目 次
I 社会・政策的展開
1. 国の情報戦略/2. 情報教育におけるコンピテンシー/3. 社会・生涯学習・環境・哲学・思想/4. 企業の人材教育/5. 教師教育・教員養成/6. 高等教育機関における情報教育/7. 初等中等教育での情報教育
II 情報教育の内容・関連事項等
8. 設備環境に関する事項/9. e-learningに関する事項/10. 社会・経済に関する事項/11. 法律・倫理に関する事項/12. 情報・通信の科学技術に関する事項/13. 情報関連の資格
III 情報教育にかかわる指導・評価
14. 情報利活用と実践に関する事項/15. 情報の科学的な理解に関する事項/16. 情報社会に参画する態度に関する事項/17. 情報教育に関連する学習・心理分野の事項/18. カリキュラム・学習指導・評価

組 見 本



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