地理学に関する概念やスキル・アプローチに関する情報が満載

人文地理学事典

人文地理学会 編
編集委員長 野間 晴雄 関西大学
副編集委員長 水内 俊雄 大阪市立大学
編集顧問 山野 正彦 人文地理学会会長
A5判・788頁 口絵4頁  本体価格20,000円 ISBN978-4-621-08687-2
発 行:丸善出版株式会社



学会が総力を挙げて取り組んだこの分野における本邦初の中項目事典
執筆者総勢263名、8分野・268項目の読み応えのある中項目を収録
各項目とも2p/4pの見開き完結でわかりやすく記述された読み通せる事典
学史・理論・基本概念から新しいアプローチ、先端研究まで全貌が把握できる
国内外の地理学の動向を踏まえながら、我が国独自の研究も多数紹介
特に関心の高いツーリズム、災害、環境に関する興味深い項目も多数収録

編集委員

荒井 良雄 東京大学
岡本 耕平
 名古屋大学
田中 和子
 京都大学
堤 研二 
大阪大学
藤井 正
 鳥取大学
藤田 裕嗣 
神戸大学
村山 祐司 
筑波大学
山本 健兒
 九州大学

刊行にあたって(一部抜粋)

 地理学はその成立当初から、自然事象と人文・社会事象の双方を対象とするため、伝統的に自然地理学と人文地理学に分けられ、複合領域的な性格を持ち続けてきました。本事典では、特に人文地理学に軸足を置きながらも、環境や自然、地図・GISにも目配りする懐の深いこの学問の魅力を、中項目主義の事典として幅広い読者に提示することを目的としています。
 内容としては、最近の地理学の国内や海外の動向を踏まえながら、わが国独自の地理学の発展も取り込んだ、分野・トピック別の学術的な本格的事典をめざしました。読者としては地理学を学ぶ学生、院生や研究者、初等・中等教育(生活科、社会科、地理歴史科)の現場でも活用できることを基本としています。加えて、地域づくりや都市計画、ツーリズムや社会の福利、そして災害や環境など現代の課題にも、現場でそしてグローバルに対応できる内容構成にしています。
 人文地理学は人文・社会事象に対して鳥の目のようにひろく見わたすことを得意とし、マッピングや計量分析・モデル化を通じて、距離や立地、移動、そしてそこから生まれる差異や空間の機能や意味を探り出してきました。その一方で、場所にかかわる意味や相互の関係性も重視してきた伝統があります。本事典は、このさまざま地域スケールの現象を、的確かつ平易な言葉とわかりやすい図表・写真を盛り込み、原則見開きページ単位で解説しています。用途としては図書館・研究室に常置して研究や授業・講義に随時利用できる参考用図書として、また現場の調査の座右の書としてお薦めします。そして、人文地理学の幅広い世界を網羅し、通読もできる項目選定や章構成で、他の学問分野にもアピールできる事典となっております。

編集委員長 野間 晴雄

目  次

. 学史と理論の系譜
人文地理学/地理学史と方法論/地理学と科学革命/探検・航海・自然誌・世界図/地理学と帝国主義/近代地理学の成立(ドイツ)/近代地理学の成立(フランス)/地理学とツーリズムの発達/地理学と環境論/産業立地論/中心地理論/地理学と地政学/アメリカ地理学における地域概念/文化生態学的地理学/計量革命/行動地理学とメンタルマップ/時間地理学/開発と環境問題/人文主義地理学/ラディカル地理学/文化論的転回とポストモダン地理学/フェミニスト地理学と批判地理学/コンピューターとGISの発達/グローバリゼーションとローカリゼーション/前近代東アジアの地理学/明治・大正時代の地理学(1)/明治・大正時代の地理学(2)/昭和期の人文地理学(戦前)/昭和期日本の地理学界/大戦期日本の地政学/昭和期の人文地理学(戦後)/古地図研究と地理思想

II. 基礎概念

地域/空間/スケール/中心と周辺/距離/立地/パターンとプロセス/景観/風景/場所/境界/領域性/環境/風土/自然/地誌/地図/地名

III. 手法・ツール・スキル

1. フィールドワーク
地域調査と地域研究/フィールドワークと巡検/参与観察/土地利用調査
2. 地図、カルトグラフィ
一般図と主題図/地図投影法/世界図の歴史/日本総図と国絵図/荘園絵図と村絵図/板行図/名所図会/伊能図と測量術/地籍図/地形図/外邦図/近代以降のさまざまな地図表現/空中写真/ナヴィゲーション/地図の知覚・認知
3. GIS、地理情報
GIS/地理情報の種類と構造/地理情報の操作と分析/地理情報の可視化と伝達/GISのハードウェアとソフトウェア/リモートセンシングの原理/リモートセンシングの応用/GISと社会/歴史GIS/統計地域・統計地区単位
4. 計量分析とモデリング
空間分析と空間モデリング/多変量解析とデータ処理/空間データマイニング/グローバル・ローカルモデル/立地・配分モデル/空間的相互作用モデル/空間的拡散モデル/自己組織化モデル

IV. 社会・経済・政治・文化と地理学

1. 社会に向き合う地理学
社会地理学/社会問題と社会空間/地域問題と問題地域/階層と空間/貧困と社会的包摂・排除/マイノリティ/エスニシティ/条件不利地域/コミュニティと地理学/社会関係資本
2. 経済に向き合う地理学
経済地理学/国民経済の地域構造/世界経済の空間構成/空間的分業/経済特区/地域経済と内発的発展/地域の経済成長と地域格差の形成/地域的経済循環/経済の地域統合/労働力移動/地域労働市場
3. 政治に向き合う地理学
政治地理学/国家と地理学/領土問題/紛争の地理学/難民/ガバメント・ガバナンス/行財政と地理学/公共サービス
4. 文化に向き合う地理学
文化地理学/文化と文明/農法、農耕、牧畜/日本文化の系譜/文化景観・文化的景観/民俗の地理/交換・交易/宗教の地理学/風水と地理学/食の地理学/住まいの地理学/海域文化の地理学/博物館/郷土/空間のジェンダー分析/開発とジェンダー/セクシュアリティの地理学/サブカルチャー・大衆文化/ライフヒストリーと地理学

V. 地域にアプローチする地理学
1. 都市を研究する地理学
都市地理学/都市システム/都市機能/都市の内部構造モデル/CBD/居住地域分化/都市化/都市圏/大都市圏と人口移動/都市計画/都市再開発/中心市街地/都市商業と大型店/郊外とニュータウン/世界都市/発展途上国の首位都市/成熟期の都市/インナーシティ/ジェントリフィケーション/ニューカマー・オールドカマー/スラム・スクォッター/周縁空間/創造都市と文化産業/都市と消費
2. 農山漁村を研究する地理学
農山漁村の地理学/村落共同体/集落形態/農林業統計/都市と農村関係/中山間地域/離島/農山漁村振興策

VI. 歴史にアプローチする地理学
歴史地理学/遺跡・遺物と考古地理学/都城と国府/条里制と集村化現象/歴史都市の空間構造/近世・近代の水運と流通/町場と在郷/城下町/街道と古道/新田開発と集落/移民と植民/近代移行期の人口現象/近代の歴史地理学/近代都市の類型と発展/近代都市の内部構造/市町村制と地域の編成/近代植民地の都市と地域/都市史研究と地理学

VII. さまざまな事象・課題に取り組む地理学
1. 産業を対象とする地理学
農業地理学/農業地域と区分/畜産地域/世界の穀物生産/水産資源と水産業/森林資源と林業/鉱産資源と鉱業/エネルギー資源とエネルギー産業/工業地理学/工業地域/産業集積/地場産業/企業の地理学/商業地理学/情報産業の地理学/文化産業/物流システム/事業所サービス業
2. 開発・計画を対象とする地理学
開発と地理学/第三世界の開発/先進国の地域開発政策/発展途上諸国の地域開発政策/日本の水資源開発/日本の国土計画/過疎地域振興/地域政策と地域振興政策/地域概念と地域政策/ハウジングと住宅政策
3. 交通を対象とする地理学
交通地理学/鉄道交通の地理学/道路交通の地理学/航空交通の地理学/海上交通の地理学/近接性とモビリティ/交通政策と地域
4. ツーリズム・観光を対象とする地理学
ツーリズムの地理学/ツーリズム空間の形成/余暇の成立/アーバンツーリズム/もう一つのツーリズム/観光資源と観光開発
5. 福祉、社会保障を対象とする地理学
福祉の地理学/高齢者の地理/子ども・若者の地理/保育・子育て/障害と空間/疾病地理学
6. 人口問題を対象とする地理学
人口地理学/人口移動/人口分析と人口統計/人口問題と人口政策/家族と人口問題
7. 環境を対象とする地理学
環境史/気候変化と地球温暖化/海水準変動と地形発達史/ヒートアイランド/砂漠化/環境の保全と保護/湿地・干潟/水資源/廃棄物とリサイクル/公害と環境/はげ山と焼畑利用/ポリティカル・エコロジー/公園・オープンスペース
8. 災害や復興を対象とする地理学
災害と復興の地理学/地震災害/風水害/ハザードマップ/山地荒廃/活断層

VIII. 地理教育
地理教育の理念・目標/地理教育史と地理教育論史/主要国の地理教育/地理教育のカリキュラム/地理学習の指導法/地図学習と地理的技能/情報活用と地理的技能/地理学習とフィールドワーク/地理の学力と評価/GIS教育/環境教育/防災教育

【付録】日本の地理学関係学会とその英文名称・発行雑誌
和文引用文献/欧文引用文献/和文・欧文事項索引/和文・欧文人名索引

組見本







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