信頼の分析指針最新改訂版
創立60周年記念出版
改訂六版 分析化学便覧

日本分析化学会 編
B5判・880頁 本体価格38,000円
発 行:丸善出版株式会社

改訂六版の特色
過去10年間の分析化学の動向を大局的に把握できる。
無機、有機の化学的反応分析の全体像を理解できる。
試料の調製法だけでなく、その調製法の分析法における使用例を記述。自分の専門以外の分析方法、分析技術を知るのに最適。
機器分析の原理・原則や、数値に表せない性能・特徴を実用的かつ簡潔にまとめ、機器分析の地球儀を理解できる。
実試料の分析指針。
分析値の信頼性についての概念を分かりやすく記載。
標準物質の入手先を記載、トレーサビリティーについて理解できる。
“このデータならここにある!”をめざした豊富な分析データを掲載。イオン液体、重量分析、材料、ナノ粒子などの情報を追加。

編集委員委員長

渡會  仁 (大阪大学名誉教授)

編集委員

井村 久則 (金沢大学)
上本 道久 (東京都立産業技術研究センター)
北森 武彦 (東京大学)
楠  文代 (東京薬科大学)
齋藤 公児 (新日本製鐵株式会社)
鈴木 孝治 (慶應義塾大学)
宗林 由樹 (京都大学)
千葉 光一 (産業技術総合研究所)
角田 欣一 (群馬大学)
中井  泉 (東京理科大学)
馬場 嘉信 (名古屋大学)
藤本 京子 (JFEスチール株式会社)


刊行にあたって(序文より抜粋)

 日本分析化学会は1961年に、創立10周年記念事業の一環として、分析化学便覧第一版を刊行し、その後、10年ごとに改訂を行い、本年60周年を迎えるにあたり、第六版を刊行することとした。
 本会も還暦を迎え、この間、分析化学を取り巻く潮流の変化にも少なからざるものがある。分析化学の重要性は、今日広く認識されており、レーザー分光学、顕微計測法、ナノバイオ、高エネルギー物理計測等の進歩と相俟って、分析化学以外の分野の人たちによっても新しい計測法が開拓されている。
 未曾有の災害となった2011年3月11日の東日本大震災は、科学の予測性と社会的責任について深く考えざるを得ない事態をもたらしている。
 終戦後7年を経て、1952年に創設された日本分析化学会は、他のいくつかの学会と同様、戦後の復興の中から生まれたと思われる。真空管式の光電光度計が最先端分析装置として利用され、放射性元素の高感度性が注目を集めた時代である。
 その後の繁栄の時代を迎えて、社会や産業構造の緻密化が進んだわけであるが、還暦を迎えた今日、科学が本来有している自由な発想の革新性を今一度想起する必要があるように思われる。また、現代が抱える科学や技術の社会受容(安全性)の問題にも真摯に応える必要があろう。分析化学は、学府の知的活動に留まるものではなく、社会において利用・評価されるべき側面があり、またそのようにして発展してきた歴史的経緯がある。
 今日、種々の情報源として、インターネットの利用がますます進みつつある。今回の改訂では、近年の分析化学の広範な普及とナノやバイオの視点に基づく新たな進歩に鑑み、改訂五版の編集方針を踏襲しながらも、事典的な要素をもち、本便覧だけで分析化学の概要がわかるように、インターネットで調べられる断片的情報との差別化を意図して、信頼性の高い便覧の作成を目指した。実試料の分析指針となり得ること、分析に使用する化学物質の毒性についても記述すること、この10年間に新たに進歩した分野(バイオ系/微粒子分析・微粒子計測/MSの普及/ICP/顕微分析/電子顕微鏡/X線分析など)を取り入れ、索引機能を充実させ、欲しい情報が速やかに得られるようにすることを方針とした。
 手元で利用できる便覧の便利さと信頼性には、電子媒体にはない恒久的な価値があると思われる。本書が分析化学の学習者、技術者、研究者に広く活用されることを願うものである。
編集委員長 渡會 仁

目  次

1 分析化学の発展
分析化学の発展少史/今世紀の分析化学/分析化学の現状と将来[分析化学の分類/時空間で極限にせまりつつある分析化学]

2 化学反応による定性分析
化学反応による検出[陽イオン/陰イオン/有機定性分析/簡易分析]

3 試料の調製法
無機系試料[無機系試料の処理方法の基礎/試料調製法(サンプリング,溶液,分離・濃縮)/各試料の調製方法の実際(セラミックス,電子材料,金属・合金,印写材料,無機工業薬品,肥料,岩石・鉱物,環境)]/
有機系試料[有機系試料の処理方法の基本/試料調製法(粉砕,溶解,抽出,濃縮,化学的な試料調製)/各試料の調製方法の実際(生体成分,医薬品,化粧品・香料,農薬,食品・食品添加物,燃料・油脂,有機高分子材料,界面活性剤・洗剤,色素・染料,有機顔料)]

4 機器分析法
総論/機器分析法各論[組成分析法(吸光光度法・UV分析法,蛍光分析法,光熱変換分析,化学発光法,フレーム分析・原子吸光分析・原子蛍光分析,ICP発光分光分析,ICP質量分析,蛍光X線分析法,電気化学分析,核・同位体利用分析)/状態分析・構造分析法(UVスペクトル,IRスペクトル,ラマンスペクトル,NMR,ESR),TG/DTA/DSC,粉末X線回折法,XPS,ESCA,XAFS,MS,メスバウアー分光法)/二次元分析・微小部分析・顕微鏡(EPMA,SEM,TEM,AES,SIMS,PIXE,SPM,光学顕微鏡,顕微分析)/分離分析(TLC,GC,HPLC,IC,電気泳動,CE)/複合・統合分析(フローインジェクション分析,マイクロ分析,LC/GC/MS,LA-ICP-MS)

5 対象別試料分析法
金属元素別分析法[アルカリ金属/Be,Mg・アルカリ土類金属/Sc,Y,REE/Ti,Zr,Hf/V,Nb,Ta/Cr,Mo,W/Mn,Tc,Re/Fe,Co,Ni/Ru,Rh,Pd/Os,Ir,Pt/Cu,Ag,Au/Zn,Cd,Hg/Al,Ga,In,Tl/Ge,Sn,Pb/アクチノイド元素]/
非金属元素別分析法[H,O,O3,水/N,P/B,C,Si/S,Se,Te,Po/As,Sb,Bi/ハロゲン元素/希ガス]/
有機化合物[生体関連分子(アミノ酸,糖質,脂肪酸,脂質,ステロイド,胆汁酸,ヌクレオシド・ヌクレオチド,ビタミン,アルデヒド,ケトン,チオール,カテコールアミン・代謝物,インドールアミン・代謝物,ポリアミン)/医薬品/香粧品/農薬/食品添加物/界面活性剤/染料・有機顔料/有機高分子材料/環境試料/POPs/VOCs/シックハウス/内分泌かく乱物質]/
生体物質[ゲノミクス/プロテオミクス/メタボロミクス/メタロミクス/細胞/タンパク質単一分子/バイオマーカー]

6 分析値の信頼性
信頼性の概念と用語[有効数字/検出限界と定量下限/信頼性用語]/トレーサビリティー[概念/国際整合/日本の体系/化学計測/その他]/
不確かさの見積もり[概念/求め方/化学分析/見積もり例/分散分析の利用/評価の意義]/
品質管理および品質保証[概要/品質管理・品質保証に関する規格/鉄鋼分野/食品分析/医薬品分野/臨床検査/化学工業分野]/
試験所認定制度と技能試験[試験所認定制度/ISO/IEC 17025:2005(JIS Q 17025:2005)技術的要求事項/技能試験]

7 標準物質
国際標準化と標準物質[計量標準の国際相互承認/標準物質の国際整合性の確保]/標準物質総論[定義/値づけ/トレーサビリティー/認証書/計量標準供給制度/使い方/標準物質データベース/標準物質関連規格]/
分析用標準物質[高純度物質(pH標準液,容量分析用標準物質,無機金属・陰イオン標準液,有機標準液,標準ガス(無機,有機),高分子標準物質,表面分析用標準物質)/組成標準物質(鉄鋼/非鉄金属/石炭,セラミックス・セメント,石油製品,環境試料,生物試料,食品,臨床分析用標準物質,医薬品)]

8 分析化学データ
物質定数と諸単位[SI基本単位/単位の換算/基本物理定数/ギリシャ文字]/
器具・試薬[器具/ナノ材料/酸・塩基/有機試薬,指示薬/緩衝液/飽和水溶液上の相対湿度・乾燥剤・寒剤]/
化学反応と基礎数値[酸解離定数/安定度定数/溶解度積/活量係数/溶媒和金属イオンの構造/反応速度定数/生体分子間相互作用]/
分離化学[溶媒抽出/イオン液体系/イオン交換/クロマトグラフィー(GC,HPLC,TLC,電気泳動法)]/
重量分析[重量分析に用いられるひょう量形/均一沈殿法による沈殿生成]/
容量分析[酸塩基滴定/酸化還元滴定/沈殿滴定/キレート滴定/イオン会合滴定]/
光分析[吸光光度定量/ICP発光分光分析/フレーム・原子吸光・原子蛍光分析/蛍光分析・化学発光/紫外・可視吸収スペクトル/赤外・ラマンスペクトル/光源(レーザー)]/
電気化学分析[酸化還元電位/電極/電解分析・電量分析/電位測定法(ポテンショメトリー)]/
熱分析[熱分析法と熱量測定法/熱分析手法の原理と測定法/標準物質/サンプリング・前処理/応用例]/
X線分析[固有X線の波長/固有X線の相対強度/d-格子定数の関係式・全反射X線の基本式/分光結晶の2d/EPMAのスペクトル形状計算/PIXE]/
磁気共鳴分析[NMR/ESR]/
質量分析[イオン化法と質量分離法/元素の同位体組成/原子,分子,ラジカルのプロトン親和力,イオン化エネルギー・標準生成熱/電子親和力/気相酸性度/質量校正用標準物質の質量スペクトル/ICP質量分析の妨害と感度/生体成分]/
光電子スペクトル[XPS/AES]/
核・同位体利用分析[同位体希釈分析/放射化分析/メスバウアー分光法/トレーサーのRI]/
環境分析[環境基準,排出基準,排水基準/化学物質の毒性]/
情報検索[概論/データベース/原文献の入手/Web情報/情報の有効な収集方法/論文執筆における情報の利用]


組見本





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