文化人類学事典

日本文化人類学会 編  発行:丸善株式会社
A5判・864頁・上製 本体価格20
,000円
 ISBN978-4-621-07997-3
[編集委員長]
松田 素二
(京都大学大学院教授)
[編集顧問]
加藤 泰建
(埼玉大学副学長)
須藤 健一(神戸大学大学院教授)
[編集幹事]
上杉 富之
(成城大学教授)
棚橋  訓(お茶の水女子大学大学院教授)
永渕 康之(名古屋工業大学大学院教授)
見出し語(中項目)約300語、巻末索引項目約3,000語
日本文化人類学会が初めて編纂する中項目事典。環境問題や世界紛争問題等で岐路に立つ、人類の歩みと行く末を考えるのに最適な現代的テーマを豊富に盛り込み、従来の事典とは一線を画する編集で提示。
30の研究領域をわかりやすく読者に提示するため、18のキーワード(やまと言葉)で分類し、研究最前線の重要テーマを網羅。
専門家から一般の方々まで、わかりやすい記述で多くの読者に役立つ話題を提供。

本事典のねらい

 21世紀の文化人類学は、前世紀までの人類学から大きく変容しつつある。ヒト、モノ、カネ、それに情報は、国境や文化を自在に超えて大量に移動するようになり、世界が標準化され均質化されてきたからだ。こうしたグローバル化の時代において、文化人類学は、世界の均質化と複雑化を現場からとらえ、新しい社会秩序を創造するための導き手としての役割を果たすことになる。今日ほど、私たちの日常世界に「異文化」が満ちあふれている時代はない。こうした時代において、「異なるもの」や「他者」の解明を目的とする『文化人類学』の意義はきわめて大きい。
 本事典は、このようなグローバル化時代の文化人類学の全体像を示すことを目指して編集された。今日の動的な世界をわかりやすく日常の視点からとらえるために、各章の基本コンセプトを「やまと言葉」の動詞においた。18個のやまと言葉の動詞のもとに、現代世界の変化を説明するための用語を厳選した。インターネット上で流通する用語情報とは一線を画し、本事典では、現場(フィールド)から発想する文化人類学者らしく、執筆者自身の調査と経験にもとづいた興味深い読み物として読める「中項目主義」を採用している。現代社会に生きる人々が文化人類学的発想と視点を生活のなかで活かすために、ぜひ役立ててほしい。


掲載項目
1 生きる  [担当委員]松岡悦子
●性と生殖 ●出産・育児 ●産婆 ●不妊 ●男児選好 ●人生儀礼 ●ジェンダー ●意思決定 ●消費 ●スローライフ ●健康ブーム ●睡眠 ●ボランティア ●老い ●死
2 暮らす   [担当委員]小長谷有紀
●栽培化 ●家畜化 ●飢餓と肥満 ●調理法 ●食事法 ●スローフード ●移動と定住 ●内と外 ●人と神 ●マイホーム ●生と死 ●公共空間 ●衣服という表象 ●身体加工 ●着衣と脱衣 ●流行
3 つながる   [担当委員]上杉富之
●生殖補助医療 ●血縁 ●結婚 ●祖先崇拝 ●イエ ●贈り物 ●現代人の起源 ●セクシュアリティ ●臓器移植 ●グループホーム ●町内会・子ども会 ●アフォーダンス ●トランスナショナリズム ●頼母子講 ●セルフヘルプ・グループ ●フェア・トレード ●ブログ ●災害支援
4 集まる   [担当委員]清水展
●親族・親類 ●人種・エスニシティ ●民族 ●先住民 ●都市 ●広場 ●祝祭 ●結社 ●社縁 ●カースト ●群れる ●家元制度 ●学校 ●NGO/NPO
5 働く   [担当委員]中谷文美
●性別分業 ●年齢別分業 ●家事 ●狩猟採集 ●牧畜 ●漁撈 ●農耕 ●工場 ●職人 ●会社 ●失業 ●移動労働 ●コミュニティ労働
6 表す   [担当委員]太田好信
●民族誌を書く ●写真と民族誌 ●未開主義 ●音楽の収集 ●音楽と自己表象 ●真正性 ●妖術 ●憑依霊 ●亡霊 ●ミメシス ●先住民性 ●政治的アイデンティティ ●リベラリズムと先住民
7 伝える・記す   [担当委員]春日直樹
●フェティッシュ ●ディアスポラとしての記憶 ●信仰の伝幡 ●先住権を証す伝承 ●記される移民、記す移民 ●遺物が伝えるもの ●物語ることの力 ●難民という生き方 ●文字の喪失する神話 ●社会的なものを記す ●運動の風化と記憶 ●家畜が伝えること ●国史が記すもの ●植民地の経験 ●映像と記録
8 動く(移住)   [担当委員]松田素二
●移動と移住 ●ユダヤ人とシオニズム ●「新大陸」と奴隷 ●移民国家アメリカ ●ヨーロッパの移民問題 ●日本社会からの移民 ●オールドカマー ●ニューカマー ●華人ネットワーク ●国際結婚 ●難民と庇護 ●漂泊と定住 ●向都離村と離都向村 ●ディアスポラ・アイデンティティ ●ツーリストとアーティスト ●多文化主義 ●ローカリティと脱領土化 ●災害と救援 ●インド移民
9 なごむ   [担当委員]棚橋訓
●冗談 ●宴(うたげ) ●遊び ●笑い ●ファンタジー ●ゲーム ●スポーツ ●パフォーミング・アーツ ●娯楽 ●旅と観光 ●趣味 ●コンパニオン・アニマル
(ペット動物) ●休日 ●散歩 ●マンガ
10 癒す   [担当委員]鈴木七美
●病と死 ●医療と癒し ●養生 ●名前 ●セクシュアリティと
アイデンティティ ●ケアと介護 ●福祉と生権力 ●オルタナティブ・メディスン ●女性と暴力 ●オカルトと癒し ●巡礼と場所 ●スピリチュアリティと女神運動 ●メディカルツーリズム ●戦争・災害の記憶とその伝承 ●儀礼と再生 ●実践コミュニティ ●ネットワーク・コミュニティ ●宗教と経済体制 ●民族文化イベントと祭り ●エコツーリズムと伝統文化
11 信じる   [担当委員]鈴木正崇
●宗教 ●聖と俗 ●儀礼 ●神話 ●象徴 ●呪術 ●供犠 ●巡礼 ●キリスト教 ●イスラーム教 ●ヒンドゥー教 ●仏教 ●道教 ●風水 ●民俗宗教 ●アニミズム ●トーテミズム ●シャーマニズム ●カルト ●ファンダメンタリズム ●スピリチュアリティ
12 交わす   [担当委員]菅原和孝
●コミュニケーション ●身体と感情 ●相互行為 ●母子接触 ●挨拶 ●会話 ●身ぶり ●言語 ●手話 ●携帯とインターネット ●身体技法の習得 ●踊る ●歌う、諳んじる ●交感 ●憑依と間身体性 ●シェアリング〔分かちあう〕 ●共生 ●性的誘惑
13 治める   [担当委員]永渕康之
●国家なき社会 ●政治体系(政治システム) ●慣習法 ●王国 ●カリスマ・中央集権・地方分権 ●中間集団 ●政策の人類学 ●意味の政治 ●所属・規律・身体 ●抵抗の技法 ●伝統の創出 ●法整備 ●統治 ●帝国の民族誌
14 争う   [担当委員]足羽與志子
●暴力 ●戦争 ●人種問題 ●民族紛争 ●宗教対立 ●影の戦争 ●争いの神話 ●呪力の競合 ●魂をめぐる争い ●宗教とフェミニズムの抗争 ●美を競う ●市場 ●選挙 ●祭り ●自然の保護と支配の争い ●ヒロシマ・ナガサキ ●裁判 ●希望の競合 ●和解
15 開く・援ける   [担当委員]前川啓治
●節合 ●アクター分析 ●エージェンシー ●構造調整 ●インターフェイス ●ソーシャル・アリーナ ●ジェンダー・アンド・デベロップメント ●開発援助機関 ●開発言説 ●開発と参加 ●評価法 ●エンパワーメント ●文化資本 ●社会関係資本 ●社会開発
16 探す・創る   [担当委員]福島真人
●科学という制度を観察する ●自閉症と社会 ●制度としての精神病院 ●救急医療 ●ホスピス ●テクノロジーと組織 ●技能の伝承 ●大規模集積技術 ●テクノロジーと文化 ●サイバースペース ●ヴァーチュアルエスノグラフィー
17 学ぶ   [担当委員]瀬川昌久
●フィールドワーク ●口頭伝承と文字資料 ●物質文化の調査 ●民族誌の書き方 ●進化主義 ●伝播主義 ●機能主義 ●構造主義 ●象徴人類学 ●民族学 ●民俗学 ●社会学 ●歴史学 ●地域研究 ●地理学 ●考古学 ●日本で文化人類学を学ぶ
18 きわめる   [担当委員]桑山敬己
●文化の概念 ●文化相対主義 ●民俗学との接点 ●民俗学の最先端 ●カルチュラル・スタディーズ ●遺伝学の知見 ●考古学の知見 ●調査される側の声 ●描かれる日本人女性 ●ネイティヴの人類学 ●博物館展示の実際 ●日本の文化人類学教育 ●人類学概説書の内容分析

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